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日高報知新聞

74年ぶりに米国から写真が弟の元に

返還された兄の写真帳を手に感慨深げな弟の源次郎さん

 太平洋戦争末期の激戦地だった南の島・サイパン島で、昭和19年(1944年)夏に戦死した浦河町出身の旧日本兵の遺品が、70年以上の時を経て、米国から同町に住む遺族の弟のもとに返還された。遺品は本人の写真を含め、絵はがきやブロマイドなど約80枚を収めた写真帳。米国で遺留品の返還活動に取り組むジャガード千津子さん(67)=イリノイ州在住・愛知県出身=の諦めない情熱あふれる地道な活動が実った。

 写真帳の持ち主は、浦河町井寒台出身の今光五郎さん(大正9年・1920年11月17日生まれ)。満州からサイパン島に配属替えとなり、昭和19年7月18日にマリアナ諸島・サイパン島で亡くなっている。

写真帳に収められている兵士の写真。右が光五郎さん

 この遺品を受け取ったのは、井寒台に住む弟の今源次郎さん(89)。光五郎さんが最初の出征地の満州に赴いたのは源次郎さんが10歳ごろ(昭和15年・1940年)で、「兄の姿を見たのはそれが最後だった」という。

 この写真帳は、昭和20年(1945年)に元米海兵隊員のアール・パルマロさん(カンザス、昨年1月に93歳で死去)が持ち帰った。遺産整理で娘のマーサー・ミックさん(フロリダ在住)が写真帳を見つけ、ジャガードさんが所属している日本人の遺留品返還に取り組む在米日本人医師が主宰し米国と日本で日本人7人で活動している「キセキ遺留品返還プロジェクト」へ、遺族への返還依頼があり、これまで長い時間を費やし調べてきた。

 写真帳や本人の写っている写真(5枚)に名前などの手掛かりになるものはなく、当初、青森県の弘前公園の絵はがきが多いことから、県紙の「東奥日報」に光五郎さんの写真とともに記事を掲載してもらい、知っている人はいないか呼び掛けたが、反応はなかった。

 その後、戦友と映っている写真に北海道の帯広地方周辺に多い「小丹枝」の名を手掛かりに、ジャガードさんは昨年11月に来道。戦没者資料の多い旭川市の北海道護国神社などを訪ね、北海道新聞にも同様の記事を掲載。今源次郎さんは、新聞の写真を見て「兄に似てる」と直感し、江別市に住む長男の哲也さん(62)=江別市非常勤嘱託職員=に相談。哲也さんは同神社に「浦河町出身の叔父に似ている」と問い合わせている。

 ジャガードさんによると、神社とのやり取りで「浦河町出身の可能性が高い」ということまでは判明したが、哲也さんが神社に伝えていた名前や連絡先などは神社側との行き違いでジャガードさんには伝わらなかったという。

 調査先を浦河に絞り、役場経由で本社に同様の写真と記事の依頼があった。浦河町遺族会の事務局は町が担当しているが、資料は戦没者と遺族の名前のみで手掛かりはなかった。

 記事掲載前に本社であれこれ探ったところ、町郷土博物館の伊藤昭和学芸員から浦河町史に戦没者の亡くなった場所や戦死月日など詳細な一覧があることを教えてもらい、所有者は今光五郎さんと判明。弟の源次郎さんが健在で、自宅には各新聞に掲載した写真と同じ顔の光五郎さんの写真も数枚所有していた。

 米国の遺族からジャガードさん、本社経由で源次郎さんと駆け付けた哲也さんのもとに返還後、21日には僧侶を呼び、親族らで写真帳の供養も行っている。

 源次郎さんは、年が10歳離れた兄が戦地で散った時に持っていたこの写真帳を万感の思いで見つめ、返還に尽力したジャガードさんにも「感謝の気持ちを伝えたい」と話している。

 ジャガードさんは「目元が亡くなった父に似ていて、これまで光五郎さんの写真は何百回も見てきた」と振り返り、「満州からサイパン島に渡った写真帳が、1945年に米海兵隊員の手でアメリカに持っていかれ、昨年1月まで73年間、カンザスで眠っていた。それが、フロリダの娘さんの手に入り、今年、イリノイ経由で北海道まで旅をしました。若くして果てた兵士の遺品に多くのストーリーが詰まっていると感慨にふけっています」と話している。

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