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室蘭民報

歴史的建造物保存へ知恵を―室工大・真境名准教授に聞く【室蘭】

「まちづくりに市民が入る仕掛けを考える必要がある」と話す真境名准教授

 室蘭市の旧絵鞆小体育館棟の解体予算が市議会で議決された。存続運動を展開する市民団体が取得を目指しているが、市は工事発注への作業に入った。円形校舎を巡っては解体方針が決まって以降、公募売却の不調や文化財審議会会長辞任などがあり、歴史的建造物の在り方に一石を投じた。都市計画に詳しい室蘭工業大学の真境名達哉准教授に、一連の問題や歴史的建造物保存に対する考えを聞いた。

 ―真境名さんは旧絵鞆小に関連した一連の出来事をどう見ていましたか。

 「市は『積極的に売りたい』とは思っていないでしょう。ただ意地悪ではありません。行政には公共建築に対する責任があります。大きな絵鞆小を民間が十分管理できるかといえば私は難しいと思います。市民団体に任せて頓挫する可能性がある限り『怖くて売れない』という気持ちも理解できます。

 そもそも現在の室蘭市には公共施設が多いのが現実です。市は『減らしたい』『管理面積を縮小したい』と考えています。絵鞆小を利活用するという考え方もありますが、これには少なからずお金がかかります。市が『何を残すか』は『何を削るか』と市全体の施設も見回して考えなければなりません。

 予算があるなら何でも残せば良いが、市は既に予算がありません。だんパラスキー場など存廃が注目される施設もありますが、廃止でなければ、どの小学校の予算をどの程度減らすかなど、社会教育施設全体の予算を示し、市民と話し合う機会を設けた方が良いと思います」

 ―市民団体が保存活用を目指しています。どう受け止めていますか。

 「市民団体は『この建物は面白いから残そう』と考え、保存活用を訴え続けています。誰も声を上げなければ既に円形校舎はなくなっていたでしょう。こだわることで校舎棟が残り、日本語学校による活用の芽も出てきました。これは大変素晴らしい成果です。市教委が解体予算の決定後も『良い話があれば聞く』としたのは、そのような経緯があったからでしょう。

 行政から見て『市民主体のまちづくり』は『余計なもの』と目に映りがちです。でも声を出す人がいなければ、行政のやりたい放題になります。市は活動している人の意見を受け止め、積極的に盛り上げるべきです。政治的コストとしてこれくらいの手間は掛けないと現代的な意味での『市民主体のまちづくり』は達成できません。こだわる人たちがいて『ある価値』が残る。大事なことです。だから市民団体の活動には意義がある」

 ―旧絵鞆小のほかにも市内には、古くて文化的価値のある施設は多い。ただ予算には限りがある。保存活用はどうすべきなのか。

 「新しい保存の概念はないでしょうか。たとえば円形校舎の基礎だけを残したり、柱を1本だけ残して高さなどの空間を知るアウトラインを保存する手法もあります。プロジェクターマッピングを使って再現することも面白い。

 市が市民団体をのせて仕掛けるべきです。市と市民団体がけんか別れすることが最悪なシナリオです。

 『昭和的な保存』より『令和的な保存』を模索することもありでしょう。難しい歴史的建造物の保存について、現代的にどうクリアするかが未来に向けた保存といえます。皆がこだわっている部分を精査し、それをどのように再現し残すか、これこそ知恵の出しどころです。100点満点ではないが、60点、30点の保存もあると思います。絶対に0点にしてはいけません」

 ―真境名さん自身、市のまちづくりについて協議する策定協議会の座長を一度辞めようと申し出て、話し合いの末に継続したと聞きました。今回の問題では諮問・助言機関の意見の取り扱いにも注目が集まりました。行政は意見をどう受け止め、消化すべきなのでしょうか。

 「私が辞意を示したのは、協議会自体が行政の考えの既定路線で進んでいるように感じたからです。このままでは策定される計画に責任が持てないと判断しました。まちづくりに市民が入る仕掛けを真剣に考える必要があり、市長にもこれを進言しました。

 結果的に座長を続けようと考え直したのは、市が私の考えを理解してくれたからです。これにより、非公開だった策定協議会が公開され、来年度以降に策定する将来の地区別構想についても、住民主体で考えられることが検討されています。一歩は前進しているのではないでしょうか。

 この時、市長には大学関係者を『裁判官的に使うのはやめてほしい』ともお願いしました。良しあしの決定者ではなく、計画を作る過程で大学関係者を入れてほしいとの思いです。室工大の先生たちにはプランナーとして使ってもらえると、生き生きと関われる人も多いと思います。より協働していく形を持つことが重要です」

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