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室蘭民報

児童の叫び―向き合う現場―(3)【胆振・日高】

虐待を受けた子どもたちも支援する児童養護施設・わかすぎ学園

家庭に近い環境を

福祉施設の活動

 親から虐待を受けて保護された子どもを支援する児童福祉施設では、より家庭に近い環境をつくり出すため、養育単位の小規模化や地域の分散化を進めている。室蘭市母恋北町の社会福祉法人室蘭言泉学園は、胆振管内唯一の児童養護施設・わかすぎ学園(同町)を運営するほか、小規模の児童養護施設を室蘭と苫小牧に相次いで開設している。

 ■要望聞き運営

 わかすぎ学園には現在、家庭での生活が困難になった2~19歳の20人が生活している。このうち虐待を受けて保護された子どもは4割程度。他には親の離婚、長期入院、失踪、軽度な知的・発達障害など事情はさまざまだ。

 平日は午前6時に起床。朝食を取った後、それぞれ幼稚園や学校などに登園・登校する。園内保育もあり、午後に子どもたちが帰園すると、夕食や入浴、学習の時間を設けて、午後11時には消灯する。園内ではクリスマスやひな祭りなど、季節に応じた行事がある。今年7月には室蘭岳の登山に挑戦した。

 小学4年生以上による、子ども自治会「みつばっち」も組織され、食事のメニュー改善やインターネット通信環境の向上といった要望を出したり、行事の内容を決めたりしている。伊藤裕司施設長(67)は「基本的には子どもの安全・安心を確保することがベース。長いスパンで丁寧な支援をし、子どもの意見や希望を聞きながら運営しています」と話す。

 ■人材確保課題

 室蘭言泉学園は2004年(平成16年)、市内に地域小規模児童施設・楓(かえで)を開設したのを皮切りに、07年に小規模グループケア・桜、16年に苫小牧養育センター・鈴蘭、今年4月には同・はまなすを開設(定員各6人)。分散化を進めた結果、ピーク時は40人だったわかすぎ学園の定員は22人に減少した。

 伊藤施設長は「一番違うのは食事。わかすぎ学園では栄養士や調理員がいますが、子どもと一緒に食べるのは日常的に支援する保育士と児童指導員。小規模の方では保育士らがメニューを作り、食事も用意し、時には子どもに手伝ってもらいながら、家庭と同じようにテーブルを囲んで食べます」。その結果、「子どもとの関わりが非常に深くなりました。食事だけでなく、入浴や普段の会話など、家庭とほとんど同じ状況になるのが、実際にやってみて分かりました」と違いを実感している。

 数年後には室蘭市内に三つ目の地域小規模児童養護施設を開設し、わかすぎ学園を改築して定員を16人にする計画を立てている。課題は人材確保。小規模施設には正職員とパート職員を合わせて5、6人が必要で、同時に経験や専門性も求められる。伊藤施設長は「(人材確保など)難しいことをどこまでできるのか念頭に置かないと、形だけ進めても中身が伴わなければならない」としている。

(2019年11月22日掲載)

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