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室蘭民報

児童の叫び―向き合う現場―(4)【胆振・日高】

児童虐待防止講演会で法医学と児童虐待の関係について話す渡邊教授

写真が解決の糸口

法医学から見た虐待

 遺体を解剖・検査して死因を究明する臨床法医学。被害児童の早期保護への活用が進んでいる。暴力の有無や程度について、親と子で証言が異なる場合やけがの原因の特定が難しいケースが少なくない身体的虐待。そうした問題を解決するため法医学者が導き出した結果を、警察や児童相談所(児相)が捜査や処遇方針の判断に生かす動きが活発化している。

 ■疑いを晴らす

 「法医学者は創傷鑑定の専門家。作成した意見書は有効な根拠・証拠となる」

 室蘭児相(米田浩二所長)が11日に苫小牧市で開いた児童虐待防止講演会で、札幌医科大学医学部の渡邊智教授(58)が意義を強調した。2007年(平成19年)から児相の依頼を受けて法医鑑定に携わっている。

 室蘭児相が18年度、通告を受けた身体的虐待は80件。このうち数件について、法医鑑定を渡邊教授に依頼した。「渡邊先生から出していただいた意見書の結果を基に、関係者で情報を共有している」(米田所長)ケースも多く、法医学と児童虐待に接点があることを多くの人に知ってもらいたいと講演を依頼し実現した。

 講演には胆振管内の民生委員・児童委員、人権擁護委員、保育士、教職員、保健師、児童福祉担当職員ら約200人が参加した。渡邊教授は法医学の役割について、死亡事例での異常所見の詳細な記録、間違いの無い死因判断、傷ができた過程や仕組み(受傷機序)の判断を挙げた。

 鑑定と意見書の作成で、有力な手掛かりとなるのが生体、写真、医療画像・書類。例えば転倒では「本当に転んだことによる傷なのか」だけでなく、「なぜ転倒したのか」まで考える。傷の状態を客観的に記載するのも重要だという。

 実際に鑑定時の写真も示した。目の周りに皮下出血が認められた事例、母親の歯型があざとして児童の太ももに生々しく残っていた事例、熱湯をひっくり返してやけどした事例などについて、考察を交えて紹介した。鑑定の結果、虐待が認められる場合がある一方で、単にドアノブの取っ手にぶつけただけの事例もあった。渡邊教授は「虐待を疑うだけでなく、疑いを晴らすのもわれわれの仕事」と語った。

 ■今後も連携密に

 参加者の多くが子どもと接するため、渡邊教授は「(虐待が疑われる子どもに)遭遇したら、写真を撮ってほしい」と呼び掛けた。撮影のポイントとして、(1)遠景と近景を収める(2)自然光が望ましい(3)撮りたい物を正面から撮る(4)手ぶれや被写体ぶれに注意する―などを挙げ、「スマートフォンで撮影しても良いので、ポイントをしっかり押さえて」と助言した。

 米田所長は「事務方では原因の特定に限界がある。今後も法医学と密接な連携を図りたい」と期待を寄せた。渡邊教授は「生体鑑定を依頼されてから見に行っても(傷やあざが)残っていない場合が多い。鑑定時の状態と写真を照らし合わせて鑑定することもある」と写真の重要性を強調した。
(おわり)

(2019年11月24日掲載)

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