北海道ニュースリンクは北海道の参加新聞社がニュース・イベントを配信するサイトです

室蘭民報

ニュースを追って2019(11)【室蘭】

野村英史・本社報道部

室工大再編、理工学部を新設

課題解決の人材育成へ

 室蘭工業大学は大学設置以来初めて学部を再編し4月、理工学部を新設した。工学部で培った「ものづくり」の伝統を土台に理学の要素を加え、地域課題を解決できる技術者を養成する-と役割を明確化。18歳人口の減少で大学淘汰(とうた)時代を迎える中、生き残りに向け動き出した。

 「室蘭工大の強みは教育力の裏付けとなる確かな研究力にある。この研究力をベースに教育・大学改革を進める」。空閑良壽(くが・よしかず)学長はあいさつのたび、こう強調してきた。

 再編は従来の工学教育のみでは限界が見える中、変化の激しい環境でも活躍を続けられる、産業界の求める人材像に応えた結果とも言える。

 ■ ■ ■

 伝統とするものづくりは近年、人工知能(AI)に代表される情報技術の活用なしに語れなくなっていた。得意とする航空宇宙の分野は自然法則を探る理学と、理学の成果を応用する工学の融合で成り立つ。理学・工学と横断的な知識を備えた人材を求める産業界の変化も後押しした。

 こうした背景を踏まえ、プログラミングの必修化など情報教育をはじめ、物理・化学・生物といった科目を全学的に充実させた。再編から8カ月。従来の工学部でも学科によって理学を学ぶ機会はあり、具体の変化はまだ見えにくい。

 地方の大学にとって、改革は待ったなしの状況にある。18歳人口は減少基調に転じ、進学率は頭打ち。文部科学省の推計では、2040年度の大学進学者数は18年度比2割減の約51万人。進学率が上がっても人口減の影響は補えず、大学再編の動きは全国で広がる。

 道内では小樽商科大、帯広畜産大、北見工大の3国立大が経営統合の検討に入った。私立大は公立化で立て直しの動きを見せる。千歳科学技術大は19年度、公立へ転換し授業料を大幅に引き下げた。学生の4割が札幌圏出身の室蘭工大にとって競争の激化は必至だ。来年4月に始まる高等教育の無償化は、学生の都市部流出を加速させるとの見方もある。厳しい環境は続く。

 ■ ■ ■

 いま一度確認したいのは、大学の存在意義である地域貢献の視点。室蘭工大は10年来、地元の自治体と連携協定を結び、産学連携にも力を入れる。地域や地元企業が抱える課題に積極的に関わりながら研究成果を還元している。

 再編に合わせて6月には、長期研究戦略「北海道MONOづくりビジョン2060」を策定。40年後の北海道の姿を若手の研究者が描き、技術で具現化する構想で「室蘭工大は地域のために働く」と宣言、役割を明確化してみせた。

 一方で学生の地元就職率はわずか数%と低迷。直近では微減傾向にある。人口減に悩む地方にとって、大学は若者を地域に定着させる希望と言える。将来の人口減を見据え、大学や地域をどうするのかという議論に加えて大学を生かして人口を維持、増加させる攻めの視点が求められている。

(2019年12月25日掲載)

関連記事

根室新聞

地元出身学生応援「旨いをお届け隊」第2弾 発送開始【根室】

 根室市出身学生を応援するため「ねむろ水産物普及推進協議会」(愛称・まるごと根室)が20日まで募集していた「根室出身学生応援!ねむろの旨いをお届け隊!」の第2弾は、最終的に道内外から337件の...

苫小牧民報

植苗地区のIR候補地特定 自然環境対策、道が了承 インフラ整備は苫小牧市..

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を目指す苫小牧市は25日までに、自然環境対策について道から一定の理解を得られたとして、市内植苗地区の約100ヘクタールを候補地に特定し誘致活動を進め...

日高報知新聞

播磨さんが総合優勝【浦河】

北海道釣魚連盟浦河支部北の釣会(三角浩之支部長)の今年最後となる11月例会が8日、会員14人が参加して浦河町浦河港~えりも町庶野展望台下間で行われ、庶野トセップ展望台下に入釣した播磨晃一さん(ラーメ...

日高報知新聞

3連休まずまずの人出【えりも】

【えりも】初冬3連休の襟裳岬は、まずまずの人出でにぎわった。中日の22日はあいにくの小雨模様だったが、正午ごろにはGoToトラベル利用の観光バス2台と乗用車30台ほどが駐車し、観光センターは食事や...

室蘭民報

順調に初出銑、「最適な生産体制構築」 日鉄室蘭第2高炉【室蘭】

 日本製鉄室蘭製鉄所(湊博之所長)で22日に稼働を再開した第2高炉は、23日午前11時に初出銑した。順調に稼働しており、同所は「需要動向に対応した最適な生産体制を構築していく」と話している。 ...

CATEGORY記事カテゴリー

MEDIA参加新聞社

ARCHIVE月別記事リスト

RANKINGアクセスランキング

  • 週間アクセス
  • 月間アクセス