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室蘭民報

胆振中・西部7市町長座談会特集【胆振中・西部】

ウポポイを核に胆振の文化、歴史、観光資源と連携させた地域振興策などを話し合った「胆振中・西部7市町長座談会」

 室蘭民報社(工藤忞代表取締役社長・主筆)主催の「胆振中・西部7市町長座談会」がこのほど、豊浦町役場で開かれた。白老町から豊浦町まで3市4町の市町長が各自治体の観光振興策や4月24日にオープンする白老・民族共生象徴空間(ウポポイ)と管内観光資源との連携、令和元年度の重点項目、防災、人口定住策などについて論議した。座談会の要旨を紹介する。

出席者

青山剛・室蘭市長

小笠原春一・登別市長

菊谷秀吉・伊達市長

戸田安彦・白老町長

真屋敏春・洞爺湖町長

村井洋一・豊浦町長

田鍋敏也・壮瞥町長

室蘭市長  青山  剛氏
登別市長  小笠原春一氏
伊達市長  菊谷 秀吉氏
白老町長  戸田 安彦氏
洞爺湖町長 真屋 敏春氏
豊浦町長  村井 洋一氏
壮瞥町長  田鍋 敏也氏

 ■室蘭民報社
代表取締役社長・主筆  工藤 忞
代表取締役専務     辻木勝夫
取締役編集局長(司会) 野田龍也
執行役員総務局長    木村 孝

観光振興への施策

担い手確保し情報発信/青山氏
多様化する観光に対応/小笠原氏
伸びしろある資源磨く/菊谷氏

 ―― インバウンド(訪日客)が増加する中、観光振興策の多様化が求められている。各自治体間で展開、計画する政策をどのように捉えているか。

 青山剛・室蘭市長 室蘭市では、祝津・絵鞆地区の道の駅「みたら室蘭」のリニューアルや大型客船入港を見据えた祝津バースの整備、中央地区では旧室蘭駅舎整備やSL移設、環境科学館建設などによるにぎわい創出など、観光振興に向け大きく変化、強化していく考え。
 限られた予算の中で、財源確保の課題は当然あるが、一方で、旅行スタイルがその地域でしか味わえない歴史・自然などにシフトしている中、誘客に向けては、本市が有する個別の観光資源を全体のストーリーとしてつなげ、発信を行う、中心となる担い手の確保が課題と考えている。

 小笠原春一・登別市長 登別市白老町観光連絡協議会や北海道登別洞爺広域観光圏協議会などの枠組みを活用し、積極的に海外プロモーションなどを行っており、直近で訪問した中国での海外プロモーションでは、周辺市町の観光資源も取り入れた情報発信など、さまざまな誘客促進に努めてきた。
 また、JR登別駅で手荷物の運搬を補助するポーターサービスなどに加え、利用者の利便性向上を図るため登別温泉地区のバス停へのバスシェルターの設置を計画するなど、多様化する旅行形態に対応し、観光客に優しく、安心して利用できる環境整備に向け、準備を進めている。

 菊谷秀吉・伊達市長 まちなかや隣接するだて歴史文化ミュージアムなどの施設へつないでいく流れをつくり出すことが、もっと必要だと考えている。
 また、北湯沢温泉やノルディックウオーキングコースに代表される豊かな自然環境に恵まれた大滝区、北海道・北東北の縄文遺跡群の一つとしてユネスコの世界文化遺産の登録決定を目指している北黄金貝塚など、伊達市にはまだまだ伸びしろのある観光資源が複数存在しているが、これらの資源の磨き上げとその情報を必要とする方にどのように発信していくかが今後の課題である。

 戸田安彦・白老町長 ウポポイを観光振興策の核として、本町としての観光目標入り込み客300万人の達成に向け、北海道と連携した道外プロモーション事業や地元の受け入れ体制整備を進めている。
 具体的には、白老観光協会の地域DMO登録に向けた体制強化や観光発信拠点となる白老駅北のインフォメーションセンター整備などの展開を進め、今後については、観光循環バスによる交通アクセスの利便性向上、来訪者をもてなすガイド人材の育成、駅北交流広場におけるロングランイベントの開催など、町内の回遊性及び経済効果を最大限高めるための施策を計画している。

 真屋敏春・洞爺湖町長 令和2年度は、洞爺湖中島にある「洞爺湖森林博物館」の新設工事が始まり、令和3年度春のオープンを予定している。
 洞爺湖中島は、約8キロの散策路があり、森林浴を楽しみながら時間を過ごしてもらえる場所であり、洞爺湖有珠山ジオパークとしても貴重な場所である。施設においては、ジオパークの紹介をするとともに、森林に関して紹介できるコーナーを設けていくこととしている。
 それには、自然を良く知ってもらう情報の提供や、体験や歴史、文化などをしっかり伝えられることをしていかなければならないと考えている。

 村井洋一・豊浦町長 平成31年2月に豊浦町観光振興計画を策定。本計画では当町にある観光資源や観光施設の特性を把握、整理し、その特性を生かした観光施策を進めていくことにしている。当町の特徴を生かした「体験」や「食」をメインの観光メニューも観光協会の事業として進めている。
 また、当町の観光の課題に関して、大きく四つの課題として(1)通過・立ち寄り型観光からの脱却(2)町特産品の付加価値向上と観光客との接点の創出(3)観光を支える産業基盤の強化と地域経済の活性化(4)魅力的な農村、漁村、市街地整備-を挙げている。

 田鍋敏也・壮瞥町長 壮瞥町では、町内の大手ホテルが設備投資を行い、昨年8月、高級路線化した宿泊施設がオープンした。新たな誘客の旗頭として、期待が高まるとともに、今後、新たな進出計画があり、開業に向けた調整、環境整備に取り組む考え。
 課題としては、壮瞥町の観光の拠点である昭和新山地区や国道整備に併せ蟠渓地区の魅力化が急務であり、総合計画策定の中で、位置付けていく考えだ。
 また、国際情勢による大幅な入り込み減対応として、プロモーション活動の支援や空路の開設に向けて、圏域として、国、北海道に働き掛けるなど、連携してさらなる誘客を図っていくことも必要と考えている。

ウポポイとの連携

歴史と食資源結び付け/戸田氏
縄文とジオ文化生かす/真屋氏

 ―― 4月24日ウポポイが開設される。各自治体には文化・歴史遺産、観光資源がある。どのように連携させて、一帯エリアとして観光振興を図っていくのか。

 戸田町長 アイヌ文化と歴史の伝承を使命とするウポポイのほか、本町には仙台藩元陣屋資料館などの文化的資源をはじめ、ポロトの森やクッタラ湖などの豊かな自然、白老牛や虎杖浜たらこ、原木椎茸といった豊富な食資源など、多くの魅力的な地域資源が存在する。各自治体においても同様、地域固有の地域資源があることから、それらを有機的に結びつけることにより、唯一無二の広域的な観光連携が可能であると考える。
 一方、現在、各自治体が観光のターゲットとする方や期待するものなど、異なる点が多いかと思う。まずは連携を通しどのような観光振興を目指すかを、行政のみならず多様な関係団体も含めた中で共有し、受け入れのネットワークを構築していくことが、最大の経済波及効果を生み出すものと考える。

 真屋町長 洞爺湖町は、伊達市、豊浦町、壮瞥町とともにユネスコ世界ジオパークに認定された、火山活動による大地の変動を物語るエリアで、世界文化遺産登録の令和3年正式推薦候補に選定された「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産「入江・高砂貝塚」を保有している。
 近年は情報媒体も多様化し、興味ある場所をじっくりと楽しむシニア層や、長期滞在を好む海外からの観光客も増加した。
 このような時代の要請に応えるために、ウポポイが発信するアイヌ文化の魅力と、その文化を育んできた自然環境を一つの物語として捉え、学習旅行だけでなく、シニア層、海外客が地域全体を回遊し満足していただけるような情報提供が必要だと考えている。

 村井町長 エリアの取り組みとしては、西胆振と白老町も含む「登別洞爺広域観光圏」が中心となり進めていくことが望ましい。
 当町にも歴史・文化資源として、アイヌ文化も含めた、遺跡・史跡・名勝・観光スポットがあり、洞爺湖有珠山ジオパーク地域としての取り組みも併せ、広域的な新たな観光ルート開発と、そのための交通網の整備やガイドの育成が重要であり課題でもある。当町としての具体的な取り組みの一つとしては、令和2年度の観光協会事業として、アイヌ文化史跡を巡るガイドツアーも実施する予定でいる。

 田鍋町長 国立の博物館であるウポポイの開業を好機と捉え、ジオパーク、北海道・北東北縄文遺跡群、室蘭の炭鉄港などを生かし、戦略的に誘客を図る必要がある。
 具体的には、ウポポイを最大の武器として、例えば東北新幹線の開業により、西胆振から関東圏へシフトした東北の中学校の修学旅行を、再びこの西胆振へ呼び込みたい。JRは新幹線料金の修学旅行生枠の設定、北海道、道教育庁には、東北6県の教育委員会へ目標100万人を達成するために、こうした動きへの支援を国から取り付ける、といった、一体的な取り組みが有効だ。
 小中学生の学び、知的好奇心に訴え、体験できる地域であることを、教育旅行を中心に、地域全体で学びの要素を高め、相互に魅力を発信し合い、滞在時間を延ばすため施策の展開と連携が必要だ。

 青山市長 アイヌの歴史とともに、日本遺産に認定された「炭鉄港」の歩みから本市の「ものづくりのまち」としての地域文化や歴史体験なども楽しんでいただきたいと考えている。
 白老から伊達エリアは、札幌と函館の中間にあり、交通アクセスも良いことから、ウポポイ開設を生かし、圏域内で1日でも多く滞在いただけるよう、各まちを経由できる案内・乗り継ぎ、地域文化や魅力ある観光資源の情報発信などに連携して取り組むべきではないかと考えている。

 小笠原市長 今年4月に開設されるウポポイには、歴史や民族に関心の高い、多くの観光客が見込まれることから、隣接する登別市にも足を運んでいただき滞在していただけるよう、登別市白老町観光連絡協議会や北海道登別洞爺広域観光圏協議会、北海道新幹線×nittan地域戦略会議など広域連携により、旅行会社はもとより一般の消費者に対する観光プロモーションを圏域で取り組み、この地域に来てみたいと思っていただけるよう情報発信に努めていく。
 また、本市ではアイヌ民族の文化を含む豊かな地域資源などを情報発信するため、登別駅前への拠点施設を整備するとともに、ウポポイと登別温泉間のアクセス向上のために、バスの運行支援などを行う。

 菊谷市長 このエリアには工場夜景や温泉、ジオパークなどのさまざまな資源があり、伊達市にも北黄金貝塚や有珠善光寺などの歴史資源が数多くあることから、これまでも北海道登別洞爺広域観光圏協議会において各市町や関係団体と連携してPR活動を行っている。
 ウポポイ開業後は海外からの観光客も増加すると見込まれるが、それ以外にも札幌や関東・東北地方から教育旅行で訪れる学校も増加すると推測している。胆振地域はアイヌと北海道の歴史を学ぶには適した地域だといえることから、学校側のニーズを的確に把握し、周遊ルートや移動手段を確保するとともに、宿泊先などを連動させた戦略的な情報発信を行っていく。

東京五輪への対応

ホタテで体験メニュー/村井氏
知名度向上と誘客図る/田鍋氏

 ―― オリンピック・イヤーを迎える。マラソン・競歩が札幌会場となるが、これをチャンスとして生かせないか。

 村井町長 マラソン・競歩の札幌開催だけでなく、今年は日本開催のオリンピックであり、多くの外国人の方が日本、北海道にもお越しいただきたい。
 長期滞在される方もいらっしゃるかと思うので、そういった長期滞在される方をターゲットとしたい。現在、当町の観光協会の事業として、漁港散策やホタテ釣り体験等が盛り込まれた「あなたの知らないホタテの世界」体験メニューは外国人の方にも非常に人気があるので、地域活性の起爆剤とすることを目指す。

 田鍋町長 ワールドカップラグビー2019大会の成功例のように、ここは、オール北海道でマラソン・競歩競技を盛り上げ、さらなる知名度向上と誘客ができるチャンスである。
 観光のトップシーズンでもあり影響に配慮しながら、合宿の誘致や、競技期間中、胆振への回遊者も想定しながら、短期間だが、魅力をアピールし、チャンスを生かしていく。

 青山市長 6月に聖火リレーが行われる。聖火リレーコースでは、市民の方々が直接オリンピックに接する機会であるため、多くの方の心に残るイベントにしたいと考えている。
 今回のオリンピックでは、サッカーに加え、マラソンと競歩競技も北海道で開催されることが決定し、道内のオリンピックムードが高まる中、本市では令和4年度に新体育館が入江地区に移転する予定。今後は、体育館を核として、スポーツの推進や市民の健康づくり、また、中央地区のにぎわいなど、地域活性化を図っていきたいと考えている。

 小笠原市長 札幌から登別、そして函館といった観光地のつながりをドラマティックロードと名付け、3市間で連携していく。
 観光のモデルコースやお薦めの観光地を紹介したり、お得なクーポンを発行するなど広域連携による誘客に取り組んでいるので、このようなさまざまな枠組みを活用することで本市の魅力を的確に伝え、来てみたいと思っていただけるよう周知に努める。

 菊谷市長 伊達市では、マラソンシーズンの始まりを告げる道内で最も早いハーフマラソン大会を開催している。東京オリンピック・パラリンピックのマラソン・競歩の札幌実施をきっかけとして、当大会への新たな参加者が増加することや、それによって交流人口が増え、地域の観光振興促進に対する追い風となることに大きな期待感を持っている。
 市民のスポーツマインドが高まり、新たなスポーツ人口を創出することができれば、健康寿命の延伸などにもつながっていくのではないかと考えている。

 戸田町長 ウポポイのプロモーションを進めるほか、スポーツ合宿や施設の誘致などスポーツを切り口に機運醸成も図りながら、町の活性化に最大限つなげていく。
 各種報道では、マラソン・競歩の開催時期に、ホテル難民が危惧されているが、交通アクセスがよく、移動圏内である胆振エリアで受け入れが十分可能である。
 昨年のラグビーワールドカップでは、インバウンドの宿泊先として民泊が活躍したと聞く。民泊については、経済効果のみならず、地域住民との交流機会や新規宿泊施設への投資が不必要という点で、持続可能な形で宿泊の選択肢を増やせるメリットがあることからも、既存のホテル等に加え、民泊事業者との連携が重要になってくる。

 真屋町長 オリンピックで、マラソン・競歩が札幌で行われるとのことであるが、当町には、日本陸連の公認コースもあるので、ぜひ、各国のマラソン選手のトレーニングの場所として使っていただければと考えている。
 6月14日には、洞爺湖町においてオリンピックの聖火リレーが行われることとなっているので、全世界に風光明媚(めいび)な洞爺湖を紹介していきたい。
 また、JAとうや湖管内では、グローバルギャップの認証を取得した農産物が生産されている。現在、オリンピック選手村での食事提供ができるよう紹介しているところだが、札幌でのマラソン・競歩の開催となったので、当町で生産された農産物が使用されるようPRしていきたい。

重点事業について

市制50周年へ三つの柱/小笠原氏
町内回遊への施策展開/戸田氏
新規就農者支援を推進/村井氏

 ―― 令和元年度事業重点項目は何か。進ちょく度と2年度以降の展開について。

 小笠原市長 今年、市制施行50周年という大きな節目を迎える当市は、この大きな機をしっかりと活用するための備えの年として、三つの柱を軸に市政に取り組む。
 一つ目としては「暮らしの安全を守り、安心を実感できるまちづくり~災害への備え~」を柱に、近年多発する記録的大雨、台風、地震などの大規模災害時において、最低限維持しなければならない行政機能を確保するための「登別市業務継続計画(BCP)」をはじめとした各種防災計画の策定・見直しに取り組む。
 二つ目としては「年齢や性別を超え、誰もが健やかに暮らし、未来が輝くまちづくり~未来の福祉への備え~」。市内二つの公立保育所について、今年4月からの民営化に向けた取り組みを進める。
 三つ目として「ふるさとの資源を活用した、活力と賑(にぎ)わいあふれる魅力あるまちづくり~経済活性・外貨獲得への備え~」を柱に、JR登別駅構内へのエレベーターの設置など、観光客の受け入れ環境整備をさらに進めるとともに、国のアイヌ政策交付金を活用し、情報発信拠点施設の整備や登別温泉地区とウポポイを結ぶ都市間バスの運行支援などを通して、市民や観光客に対するアイヌ文化の理解促進を図る。

 青山市長 人口規模に見合ったコンパクトで住みやすいまちづくりに向けて、立地適正化計画を策定し、(仮称)環境科学館・図書館の整備や、入江運動公園へ体育館などのスポーツ機能を移転・集約するほか、旧室蘭駅舎横にSLの移設や公園を整備するなど、地方再生コンパクトシティのモデル地区に選定された室蘭駅周辺地区において、にぎわい創出に向けた取り組みを進めており、今後も人口減少社会に対応した、市民が安心・快適に生活できるまちづくりを進める。
 ものづくりのまちの強みである技術力を生かし、航空機産業への参入支援や、産学官連携による低圧水素利用の実証事業、国際的な水素集積地の可能性を探る先進地調査を実施しており、今後も新エネルギーや成長産業の拡大につなげ、企業と連携した取り組みを進めたい。

 菊谷市長 令和元年度は伊達邦成が有珠一郡の支配を明治政府から命じられてから150年という節目の年であり、市民と共にさまざまな記念事業を進めてきた。事業を通じ多くの方に伊達市の歴史を知っていただけたが、市民参加という点に関しても意識が大きく変わってきたのではないか。事業の一つとして「伊達大滝ロングトレイルコース」を開設したが、交流人口の増加だけでなく、健康づくりにも役立ててもらいたい。
 先人たちから引き継がれたものは数多くあるが、その中でも農地について現在国営緊急農地再編整備に向けた取り組みを進めている。農地の区画整理が進めば農作業の効率化が図れ、より伊達らしい農業を促進できる。これからの世代に引き継いでいくためにも、この伊達市をさらに磨き上げていきたい。

 戸田町長 本町では、開業間近となったウポポイを核としたまちづくりを推進し、中でも多くの来訪者を受け入れるための環境づくりを重点的に進めてきた。
 その進ちょくについては、JR白老駅の自由通路整備工事や観光情報発信拠点となる駅北のインフォメーションセンター整備等の周辺整備をはじめ、おもてなしガイド人材の育成やアイヌ文化を取り入れた商品開発など、ハードとソフトの両面で多岐にわたる事業を着実に進めてきた。しかしながら、昨夏、道が実施したウポポイの認知度調査では、道内外ともに知名度が低い結果となった。
 このことからも、令和2年度以降は、北海道と連携したプロモーション事業をより強化していくとともに、駅北におけるウポポイ開設記念ロングランイベント等の実施による来訪者の回遊性向上を図り、さらなる機運醸成に努めたい。

 真屋町長 令和元年度の重点項目としては、道路・交通網の整備、アイヌ新法施行に伴う新たな交付金制度を活用した地域振興策を推進している。道路・交通網の整備については、平成30年度より実施している虻田地区環境整備事業として、町道の老朽化によるひび割れや排水施設の破損等を整備し、地域住民が快適に利用できるよう年次計画を策定して事業を進めている。
 町内バリアフリー化の一環として、JR洞爺駅構内のエレベーター設置を要望してきたところだが、JR北海道より調査設計の実施及び供用開始までのスケジュールが示されたところであり、令和2年度の工事着工に向けて協議を継続することとしている。
 アイヌ新法施行に伴う交付金制度を活用した地域振興策については、当町は、歴史的にもアイヌ文化との関わりが深く、この交付金を活用することにより、地域の活性化につながことが期待される。令和2年度の主な事業としては、既存の生活館を共生拠点施設に建て替え、アイヌ文化を継承できる設備に加え、地域コミュニティの活動もできる施設としたい。共生社会の実現に向けて令和2年度の完成を目指している。

 村井町長 平成28年度より整備を進めていた家畜ふん尿や水産残渣(さ)といった本町に有するバイオマス資源を活用した「バイオガスプラント整備事業」は昨年4月より稼働を開始した。令和2年度以降も安定した稼働により環境に配慮した循環型社会を目指すことを目標に進める。
 また、新規就農者対策として平成28年度より事業を進めてきた「豊浦型地域産業連携拠点化事業」についても、平成30年度に廃校を活用した拠点施設整備が完了し、4月より夫婦1組が新規就農者研修を開始した。令和2年度も引き続き研修生を募集し、当町の地域ブランドでもある「豊浦いちご」の担い手育成を推進する。

 田鍋町長 町長就任後、令和2年度以降の政策の指針となる第5次壮瞥町まちづくり総合計画の策定に着手し、現在も町民の方々との対話を重ねながら作業を進めている。並行して、財政の健全化など、さまざまな課題に取り組んでいる。
 そうした中で、現在、町内の農業法人や個人の農業者で構成する組合などが、玉ねぎの作付面積拡大と収穫した玉ねぎの選別、貯蔵、加工施設を整備する大規模プロジェクトを計画している。町としても積極的に支援し、付加価値の高い生産、出荷体制の構築による所得向上や雇用確保策と、遊休施設の活用対策を一体的に進め、人口減対策と地域の活性化に取り組んでいる。

防災への取り組み

次の噴火へ備えを充実/真屋氏
ソフト面にも全力注ぐ/田鍋氏

 ―― 台風15、19号など想定外の大きな自然災害が相次いでいる。地震・噴火を含めて地域の防災・減災対策の考え方は。

 真屋町長 防災・減災対策として、令和元年度末に2000年有珠山噴火から20年を迎えることから、噴火災害の経験と教訓を風化させることなく次世代に引き継ぐため、有珠山噴火防災訓練を実施し、噴火に対する地域住民の防災意識の向上を図ることを計画している。
 令和元年度は、拠点となる避難所への非常用発電機の設置や防災備蓄を計画的に進めることとしているが、町では有珠山を取り囲む1市3町と連携して、有珠山噴火をはじめとする大規模自然災害等に備えるため、事前防災・減災と迅速な復旧復興に資する施策を、まちづくり政策などを含めた総合的な取り組みとして、「国土強靭化計画」の策定に取り組む。

 田鍋町長 壮瞥町では、非常用発電機や段ボールベッドなどの資機材、備蓄食料などを計画的に整備しているほか、令和元年度、防災行政無線のデジタル化に合わせて戸別受信機の全戸配布などを進めている。
 自然災害発生時に行政と住民の皆さんが的確に対応、行動ができるよう、ソフト面での取り組みにも力を入れている。防災教育の一環として小学生や一般町民を対象とした防災キャンプ、一日防災学校などを昨年9月に行ったほか、令和元年度整備する戸別受信機などのより実践的な運用による情報伝達機能の向上、地域包括支援センターを中心とした避難行動要支援者の把握の徹底強化なども行う。

 村井町長 令和元年度は大きな自然災害が発生していないが、津波や地震、有珠山噴火等の災害発生時には迅速かつ的確に対応できるように日ごろより防災・減災活動を行っている。
 津波に関しては、沿岸自治会が毎年防災訓練を実施するとともに、デジタル防災行政無線や携帯電話のエリアメール、コミュニティFMラジオなどの活用により、町民及び関係機関等との連携を強化。また、胆振東部地震時の大停電を踏まえ、各避難所の備蓄品を計画的に配備した。
 消防体制の整備では「豊浦町消防事業・施設整備10年計画」に基づき、令和元年度は豊浦高規格救急消防車の更新等を実施し、町民の安心確保を図る。

 青山市長 平成30年の北海道胆振東部地震の対応を通じて「情報発信・伝達」「避難所」「要支援者等の対応」の強化が必要と考えているが、これらは自助・共助・公助それぞれが対応することが求められる。「公助」の本市の取り組みとして、コミュニティFMでの防災放送や無線機、公用携帯電話の増設、避難所数拡大と分散備蓄庫の整備などを、町内会連合会とともに進めている、自主防災組織の広域化の取り組みなどにより、対応強化を図る。
 平時からの連携強化を図る防災協定を岩手県宮古市と締結したほか、登別市、登別室蘭青年会議所の三者においても締結した。今後も、積極的に取り組みを進めていく。

 小笠原市長 平成30年度においては、登別市業務継続計画(BCP)や避難所運営マニュアル、倶多楽火山避難計画を作成するなど、災害に強いまちづくりを進めた。町内会が実施する防災訓練に職員を派遣。防災に対する講話などを行っているほか、昨年7月の総合防災訓練の中では、初めてとなる地域住民主体の避難所運営訓練を実施した。
 昨年9月には市内の指定避難所に地域防災用発電機を配置するとともに、災害時に地域の町内会などが活用できるように発電機の操作研修会を実施した。令和2年度は冬期の避難所開設訓練を実施する。

 菊谷市長 近年、全国的に大規模な自然災害が相次いでいるが、災害が発生した際には市民(自助)、自治会などの地域コミュニティ(共助)、行政(公助)が担う役割は異なるため、それぞれの立場で防災や減災について意識し、行動することが大切である。
 行政(公助)の立場としては、災害の状況に応じてさまざまな情報伝達手段を用いて情報を発信するほか、住民避難が必要な場合は早め早めの行動を促すよう、自治会や市民団体に対し防災講話などを通じて平時からの周知・啓発を図っている。

 戸田町長 平成30年の胆振東部地震による大規模停電を教訓とし、避難所施設などの発電設備や備蓄品の拡充に努めていく。
 大地震など突如発生する災害では、町や公的機関による防災活動のみならず、自助、共助と呼ばれる地域住民による自主的な防災活動が被害を最小限にするために不可欠。自主防災組織やしらおい防災マスター会などの活動促進のほか、子どもたちの防災意識醸成のため、地域の協力を得て「一日防災学校」の取り組みも進めている。
 今後も地域防災リーダーの育成を積極的に進めるなど、地域防災力の向上に努める。

人口定住の打開策

地域一丸で移住を拡大/菊谷氏
働きやすい受け皿整備/青山氏

 ―― 人口定住策は全国的な課題であるが、年度ごとの取り組みに成果は出ているのか。自治体連携による打開策はないか。

 菊谷市長 伊達市は昨年10月末時点で人口3万4千人を割りこむ状況であり、本州での移住フェアにもブースを出店しPRするが、地方の一自治体にできることには限界を感じている。
 西胆振の各地域が一丸となり、移住のきっかけを提供するため、平成30年1月に西いぶり「生涯活躍のまち」構想推進協議会が「北海道移住定住西いぶり」のホームぺージを開設し、3市3町への移住に関する情報を発信している。大都市への人口集中に少しでも歯止めをかけられるよう取り組んでいきたい。

 戸田町長 移住希望者へのお試し暮らしや東京・大阪等の大都市圏におけるPR事業をはじめ、空き店舗を活用した創業支援、子育て世代包括支援センター開設などで定住促進を図る。
 ウポポイ開業に向け経済的な期待の高まりから創業支援は令和元年度、既に飲食店等4件の実績があることや民間アパートで12棟104戸の造成があるなど、一定の成果は出ている。
 暮らす形が多様化し、定住と移住に加え、今後は関係人口にも注視する必要がある。自治体間でどのような連携ができるかを模索していく必要がある。

 真屋町長 町営住宅等の入居要件の緩和や、定住促進住宅を整備し、定住対策を図る。定住促進住宅は平成28年度、洞爺地区に2棟16戸建設、令和元年度は花和地区に4戸を建築した。
 少子高齢化の進展の中で、高齢者のみの世帯が徐々に増加し、持ち家を手放し空き家となるケースが見受けられることから、空き家情報登録制度を設け、移住・定住者に対し情報提供を行っており、移住・定住につながっている。情報提供については町のホームページに掲載しており、平成30年度で10万件の閲覧実績があった。

 村井町長 人口定住対策では、「移住・定住の基盤整備」として、まず、ちょっと暮らし体験住宅利用件数は、令和元年度42人程度になる見込みで、増加の傾向にある。次に空き家バンク事業については、購入や賃貸契約した件数が2件程度の見込みで、横ばい傾向。持ち家住宅奨励事業(住宅新築、中古住宅購入への支援)は4件程度の見込みで、横ばい傾向にある。
 自治体の連携による打開策は、各自治体の強みや弱みといった特徴を、十分理解した上で構築するべきと考える。

 田鍋町長 人口減少を緩やかにするため、持ち家取得や空き家改修の助成、子育て応援住宅整備や中学生までの医療費助成など、移住定住対策を充実させ、転入数の増加等に一定程度の成果は出ていると分析した。
 今後も各種ソフト事業を継続して実施、拡充し、地域で子どもたちの教育に関わる地域社会の形成に向けた取り組みを充実させ、子育て世代に移住先として選択される教育の町、壮瞥を目指していきたい。

 青山市長 子育て世代へのマイホーム助成による住宅施策や、生涯学習センターきらんを開設し、企業の女性向け職場環境づくり、社宅整備支援の対象業種を拡大し、働き手確保と定住の取り組みを進める。
 今後も「働くまち」「住むまち」として選んでもらえるよう、人口定住対策を進める。西胆振3市3町が連携した「生涯活躍のまち」構想では、移住の総合相談窓口の設置や、SNSなどを通じた情報発信を実施する。
 首都圏からのインターンシップ事業に取り組み、関係人口の創出などで移住・定住につなげていく。

 小笠原市長 完全移住の促進を第一としているが、2地域居住やシーズンステイ、短期間の移住体験などを積極的に推進する。平成17年度以降、ワンストップサービスによる相談体制を整え、移住相談者のニーズにきめ細かく対応できるよう、努めている。
 平成30年度は移住を検討している方の多くが、ネットで情報収集する現状を踏まえ、移住ポータルサイトの情報拡充に加え、閲覧を促すため、ヤフーのトップページにバナー広告を掲載した。今後、役割分担をしながら、魅力ある圏域の形成を目指す。

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日高報知新聞

三石小に「巨峰」届ける【新ひだか】

【新ひだか】三石蓬栄の幌村建設(幌村司社長)は29日、三石小(野﨑充校長、児童155人)の全校児童に、同社に隣接するビニールハウスで育てたブドウの「巨峰」7箱を贈呈した。  幌村建設は道教委が進め...