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室蘭民報

検証2020市予算案(下)・ものづくり変革【室蘭】

新たな産業軸の形成へ/航空機、ITを育成

基盤であるものづくりに変革の波が起きている室蘭。新たな産業軸創出を模索する

 「室蘭の基盤であるものづくり産業を核に、5G(第5世代通信規格)、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)といった情報通信分野も新たな産業軸に、層の厚い先端ものづくり産業都市を目指していきたい」。1月31日、経済産業省北海道経済産業局とのMOU(覚書)締結式で、青山剛室蘭市長は航空機産業など新たな産業創出に意欲を示した。

 ●拠点再編

 室蘭を支えてきた基幹産業の製造業は、大きな転換点を迎えている。昨年3月、石油元売り大手のJXTGエネルギーが、63年続いた石油関連製品の製造を停止。石油需要の減少で、生産拠点の再編を迫られた企業の生き残りをかけた判断だった。

 日本製鋼所室蘭製作所は、主力製品の低迷で事業の再転換が求められ、事業分社化して新たなものづくりを開始する。20年ぶりに高炉を改修する日本製鉄室蘭製鉄所も、グループ全体では国内需要の減退や海外との競争激化で、大規模な拠点再編による生産体制の最適化に着手する。

 大手企業の設備更新や規模の変動は、取引する市内の中小企業だけでなく、税収など市の財政にも影響する。2020年度(令和2年度)の予算発表で青山市長は「本市の経済をけん引してきた産業の変化を感じる」と述べた。生産革命の進展で、今より製造現場で働く人員は確実に縮小する。

 ●企業誘致

 一方、古くからのものづくりの基盤を生かし、新たな産業の芽も育つ。その一つが航空機だ。民間航空機市場は、旅客需要の増加を背景に今後20年で倍増が見込まれる成長産業。1機当たりに使用する部品は300万点に上り、治具など関連市場も含めれば裾野は広く、中小企業にも参入チャンスがある。

 昨年は市内の企業が航空機部品等を受注し、国際認証「JISQ9100」取得に向けキックオフを宣言した。市は20年度も航空機産業集積化に向け参入支援を継続。生産性向上やIoT導入を支援し、人手不足などの課題解決を後押しし、参入への意欲を高める狙いだ。

 室蘭テクノセンターに研究開発拠点を立ち上げたIT企業のビックボイス、車載機器システム開発のパナソニックITSの市内進出も、これまで室蘭には少なかったIT企業の誘致による製造業の生産性向上、IoTなど先端技術開発という新たな産業軸につながる。室蘭工業大学でシステム系を学んだ学生の受け皿として、地元定着にも期待が高まる。

(おわり)

(2020年2月26日掲載)

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