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室蘭民報

~本道近代化支えた産業遺産~いぶり炭鉄港めぐり(6)【室蘭】

港の周囲に広がる工場群と住宅街の夜景

輝く夜景、丘から一望

工場景観と企業 城下町のまちなみ

 ■味わい独特

 夜のとばりが下りて空の色が変わると、工場群の明かりが闇の中に輝き始める。港の入り口には東日本最長のつり橋・白鳥大橋が、きらびやかなネックレスのような美しい曲線を描く。国内有数の「工場夜景都市」と称される室蘭の夜景だ。港を取り囲む市内の大部分が丘陵地で、工場と工場勤務者や家族が暮らす街並みの明かりが海面に映る姿を見渡せるなど独特の味わいがある。

 ■観光資源に

 明治期以降の歴史的な工場などを再評価する「産業観光」が注目される中、誰もが楽しめる夜景は、観光資源の一つになっている。高度成をけん引した工業地帯は大気汚染問題などを経て環境再生を果たし、非日常の迫力ある景観として見直され、室蘭市では2009年(平成21年)9月、市の広報誌で特集を組んだのが、本格的な取り組みのきっかけとなった。

 11年には室蘭と川崎、三重県四日市、北九州の4市が「四大工場夜景エリア」を宣言し現在全国10市超に拡大。観光客や写真家から注目を集め、16年に始まった室蘭が舞台の滞在型写真コンテスト「撮りフェス」でも参加者の多くが被写体に選んでいる。

 ただ工場夜景の一角を担っていたJXTGエネルギー(東京)が昨年8月、室蘭製造所(当時)の総数1万個以上の保安灯のうち半数に近い約5千個の点灯を取りやめた。縮小される保安灯に代わる魅力を打ち出せるか正念場を迎えている。

 ■メッセージ

 基幹産業の製鉄業の合理化をきっかけに、市民が1988年(昭和63年)から「まちを元気にしよう」と続けている測量山の鉄塔のライトアップの存在も忘れてはならない。危機感を持った市民が87年、室蘭ルネッサンスを結成する。個人や団体が一晩4千円の費用を負担、合わせてメッセージを寄せると地元紙に紹介される。この仕組みは現在も変わらない。

 亡き家族や世話になった人への感謝の気持ち-。開始から途切れることなく続くメッセージに市民はさまざまな思いを込める。連続点灯は1万日を突破し更新を続ける。新型コロナウイルス感染症の流行が世界的な問題になってからは、早期終息への願いも加わった。

 夜景で有名なまちは数あるが、室蘭の夜景の魅力はこうした市民の小さな思いやりの光で形づくられている。工場群とともに輝く、家族やまちへの愛着と誇りが詰まった「希望の灯」。訪れた人に、背後にある「ストーリー」を伝えることができれば夜景は一層、輝きを増すはずだ。

 【メモ】 工場景観と企業城下町のまちなみは、工場群を取り囲む丘陵地の高台にある展望台や観光道路から見ることができる。問い合わせは室蘭観光協会、電話0143・23局0102番へ。

(2020年5月13日掲載)

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