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室蘭民報

~本道近代化支えた産業遺産~いぶり炭鉄港めぐり(7)【室蘭】

日鋼室蘭で製造された国産初航空機エンジン「室0号」

国産初、大正の空に

日鋼室蘭製造の複葉機エンジン室0号

 ■独製モデル

 日本製鋼所M&E(室蘭市茶津町)の本事務所エントランスのガラスケースに収まった、6気筒エンジン「室0号」。前身の日本製鋼所が1918年(大正7年)に製造した、初の国産飛行機エンジンだ。

 製造された当時、第1次世界大戦(14~18年)で各国の高性能な戦闘用飛行機を目の当たりにした日本軍は、国産軍用機の開発や法整備を急いだ。

 軍の独占化にあった軍需品生産を民間にも開放する「軍需動員工業法」が18年に施行され、日鋼は正式に陸軍からエンジン開発を受注。当時、世界最高と評されたドイツ製「メルセデス・ダイムラーE6F型」をモデルに、室0号の試作開発が始まった。

 ■部品自社製

 当時の民間工場としては機械加工設備が整っていた日鋼室蘭工場(後の室蘭製作所)だが、同社の記録によると、ほとんどの部品を素材から造り、陸軍から提供された設計図の寸法も、日鋼が使用していたインチではなく、メートルで記されるなど、開発は難航を極めた。

 技術者らの知恵と汗の結晶が生んだ試作機1号機は同年12月に完成。50時間連続運転の要求にも応え、21年までに試作機を含め21基を納入。当時の最新鋭複葉機「モールス・ファルマン六型」に搭載された。しかし、国産初の航空エンジン開発は採算が合わず、最初の受注分で大きな赤字を計上。需要の拡大も見込めなかったため、日鋼は航空機分野から撤退する。

 その後、室0号の開発は戦車用発動機の開発へと受け継がれ、日鋼のものづくり技術の発展に大きく寄与した。現在、日鋼M&Eに展示されているエンジンは、旧武蔵製作所(東京都府中)に保管されていたが、77年に室蘭製作所へと帰還を果たし、99年に室蘭市の文化財に指定された。

 ■再挑戦開始

 戦後は軍需から民需に転換。室蘭製作所は、大型部品製造の特殊鍛錬法を確立し、火力、原子力など電力、石油プラント向け各種製品トップメーカーとして成長。2017年(平成29年)には、室0号開発から約100年を経て、航空機産業への再挑戦を開始した。

 日鋼が日本初の国産エンジンを開発した、という事実は、当時は軍の機密事項であったがために、最近まで知られていなかった。ガラスケースに収まったそのエンジンは日本航空史の黎明(れいめい)期に、確かに存在したことを静かに物語っている。

 【メモ】 日本製鋼所室蘭製作所が製造した国産第1号の航空機エンジン「室0号」。ドイツ・ダイムラー製エンジンをモデルに改良を加えた。室蘭市指定文化財。現在は日本製鋼所M&E本事務所に展示。見学は事前申し込みが必要。問い合わせは同社総務グループ、電話0143・22局0143番。

(2020年5月17日掲載)

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