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室蘭民報

~本道近代化支えた産業遺産~いぶり炭鉄港めぐり(8)【室蘭】

かつて炭鉄港を結んだ旧室蘭駅舎

石炭・鉄、盛衰見届け

旧室蘭駅舎

 ■道内最古

 洋風建築の面影を残す屋根に白い漆喰(しっくい)の外壁。市民にはなじみ深い旧室蘭駅舎(海岸町)は、室蘭市が誕生する以前から今に残る道内最古の木造駅舎だ。その歴史を紐(ひも)とけば、炭鉄港の3大要素を通じて近代化を果たした北海道の歩みが見えてくる。

 炭鉄港を結ぶ上で大きな役割を果たしたのが、炭鉱会社の北海道炭礦鉄道会社(北炭)。1889年(明治22年)に幌内炭鉱(三笠)など政府から払い下げられた優良鉱区を独占すると、夕張や歌志内など各地の炭鉱開発を進めた。

 室蘭線が開通したのは92年(同25年)。石炭を船で道外に輸送するため、北炭が鉄路で岩見沢―室蘭を連結する。もともと交通の要衝として機能していた室蘭港は、石炭の積み出し港として急速に存在感を強めていく。鉄路を駆使した道内の経済発展が進む中、5年後には延伸が実現。室蘭―母恋間の仏坂トンネル近くで室蘭停車場が開業した。

 ■軍事輸送

 日露戦争を経て、政府は安定した軍事輸送の必要性を重視し、鉄道の国有化を推進。北炭が持つ機関車などを現代の価値で300億円に当たる3千万円で買収する。北炭は船舶事業を新たな中核事業に据えると、豊富な資金を元手に1907年(同40年)、英・アームストロング社、ビッカース社と合弁で日本製鋼所を室蘭に設立。2年後には輪西製鉄所(現・日本製鉄室蘭製鉄所)が創業する。時代の要請に応え、室蘭が「鉄のまち」へと変貌していくさなかの12年(同45年)、駅舎が海岸町に建設。これが現在でもおなじみの旧室蘭駅舎となる。一度に3千トンの石炭を運ぶ列車の往来が絶えなかった。

 道内の石炭産出量はその後も右肩上がり。第2次世界大戦からの復興期を経て60年代の成長期に移ると、石狩炭田が国内最大の産炭地となる。室蘭駅は利用が絶えず、57年(昭和32年)には乗降客が1日平均2万8千人に上った。しかしその後は石油が台頭し、石炭産業が斜陽化。次第に炭鉄港で結ばれた道内各地もそのを低下させていく。

 ■観光案内

 2020年(令和2年)の旧室蘭駅舎には室蘭観光協会が入り、市内観光の案内所となっている。昨年8月には、駅舎隣にかつて室蘭港に石炭を届けたD51 560号が移設。鉄道拠点としての価値を失っても、炭鉄港をつないだ遺産としての価値が高まった。道の発展を支えた立役者は、鉄のまちの歴史を後世に伝え続けていく。

 【旧室蘭駅舎】 「がんぎ」と呼ばれる建築様式を取り入れるなど全国でも珍しい造りの駅舎。1997年(平成9年)10月に現・室蘭駅に鉄道機能を引き継ぎ、現在は市内観光の拠点となっている。1912年(明治45年)建設。木造2階建て。

(2020年5月19日掲載)

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