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室蘭民報

~本道近代化支えた産業遺産~いぶり炭鉄港めぐり(9)【室蘭】

高炉の火入れを記念して作られた恵比寿・大黒天像(室蘭市民俗資料館所蔵)

鉄のまち室蘭の原点

恵比寿・大黒天像

 ■出銑成功

 室蘭の鉄鋼業は明治期から一貫して日本の発展に貢献してきた。1907年(明治40年)に北海道炭礦汽船(北炭)と英国の重工業アームストロング社、ビッカース社の3社による共同出資で日本製鋼所が設立された。2年後の09年には輪西製鉄場(現日鉄室蘭製鉄所)が誕生する。噴火湾(内浦湾)一帯の砂鉄、虻田(現洞爺湖町)の鉄鉱石や夕張の石炭、そして天然の良港である室蘭港が基盤にあった。

 輪西製鉄場は09年7月18日、第1高炉に火が入り、同22日に約8トンの出銑(しゅっせん)に成功する。出銑とは高炉の中で精錬された銑鉄が溶融状況で湯だまりにたまっているものを取り出すこと。おひざ元・輪西の街は千人もの人々がパレードで練り歩き、まるで祭りのようだったという。

 ■記念の品

 第1高炉の火入れの記念品が残されている。「恵比寿(えびす)・大黒天」の福神像だ。高さ9・5センチ、重さ1・1キロ。いずれも穏やかな表情をたたえている。当時、式典の出席者らに配られたという。初めての出銑を記念した像は、これまでに数組が見つかっているが、正確な製作数は分かっていない。

 像の1組は室蘭市民俗資料館(陣屋町)が所蔵している。市教委の学芸員、谷中聖治さん(52)は「室蘭における近代製鉄の一番最初にできた鉄で作られた記念品です。鉄のまち室蘭の原点といえる」と歴史的価値を語る。

 ■発展の礎

 現在のように機械化されていない時代。製鉄所に働いた労働者は、飛び散った銑鉄のかけらを社宅の長屋に持ち帰り、神棚に飾ってよりどころにしたという。「それだけ神聖な存在だったのでしょう。溶鉱炉があるまちならではの風習です」と谷中さん。長屋の消滅とともに見かけることは少なくなったが、黎明(れいめい)期の空気を伝える逸話として語り継いでいる。

 空知の産炭地域から運び出された石炭を、貨車から船舶に積み替える役割を担い、専用の岸壁が整備されるなどして発展した室蘭。石炭、そして噴火湾岸の鉄鉱石などを原材料にした製鉄所は戦中、戦後の復興期にもその存在感を発揮。1970年代半ば以降、高度経済成長期や「鉄冷え」の厳しい経営環境を乗り越え、最新鋭の人工知能(AI)を導入するため高炉の改修が計画されるなど、実に100年以上にわたって、まちの礎であり続けている。

 【メモ】 恵比寿・大黒天像の1組は室蘭市民俗資料館に常設展示されている。陣屋町2・4・25。入場無料。新型コロナウイルスの影響で開館は午前11時~午後3時半、入場は室蘭市民と同市内に勤務・通学する人に限る。問い合わせは同館、電話0143・59局4922番へ。

(2020年5月20日掲載)

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