旧棒二森屋クマの石像、根本土龍ゆかりの八雲町郷土資料館に【函館】
2019年1月末で閉店したJR函館駅前の百貨店「棒二森屋」の正面玄関に展示されていた2体のクマの石像が22日、作者で彫刻家の根本土龍(1904~83、本名・勲)にゆかりのある八雲町の郷土資料館・木彫り熊資料館(町末広町)に移設される。四つ足で立つ「這(は)いグマ」は同資料館に寄贈、座った状態の「座グマ」は当面、同資料館で展示し、棒二跡地の再開発ビル完成後に再度移設する計画だ。
根本土龍は福島県生まれで5歳ごろ、八雲に移住。早稲田大学卒業後、八雲農民美術研究会で活動したほか、八雲高校では美術教員として勤務。美術団体の一陽会や赤光社の会員としても活躍し、函館市末広町にある北海道第一歩の碑のクマのモニュメントなども手掛けた。
棒二森屋では1961年に「這いグマ」、66年に「座グマ」を向かう合う形で展示し、2019年の閉店まで同店のシンボルとして市民に親しまれた。2体の石像は閉店後も建物内にあり、棒二森屋を運営してきた中合(東京)が「今後も大切に保存したい」と根本と縁深く、多くのクマの彫刻作品を展示する同資料館への移設を計画してきた。
20日に高松町の大谷石材の工場で神職による清祓い式を行い、関係者が無事に移設されることを祈った。13年まで棒二森屋の副店長を務めた、中合の函館駅前ビル駐在の島田順さん(68)は「市民にもなじみ深い店のシンボルで大切に残してもらいたい。また函館で展示するときには多くの市民に見てもらえたら」と目を細め、八雲町教委の土井寿彦教育長(61)は「石像に込められた思いもしっかりと受け継ぎ、また多くの人に愛してもらえるよう展示したい」と話していた。
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