有害鳥獣の現状や猟友会の役割【浦河】
浦河町主催の新規狩猟者応援セミナーが25日、町総合文化会館で開かれ、町民11人が参加した。
農作物に被害を及ぼす有害鳥獣駆除の担い手確保が課題となっている中、町の有害鳥獣の現状と猟友会の役割について理解を深め、狩猟者免許取得に興味を持ってもらえるよう初めて企画された。
この日は、町産業課鳥獣被害対策室の長崎哲之室長が「ハンターの担い手がいない現状で、若い人に関心を持ってもらうため、新たな取り組みとしてセミナーを開催した」と開催経緯を説明したあと、町猟友会浦河分区の菊地素臣さんが町の有害鳥獣被害と猟友会の役割について講演した。
猟友会浦河支部の現状として、ハンターの年代は60~80歳代が占めており、時代の変化で若い人が減った。シカの一定数を捕獲はしているものの、繁殖率が高く、間に合っていない状況。特にメスジカは2歳から寿命が来るまで毎年出産し、妊娠率90%以上で年間の増加率は15~20%。獲らずに放置すると4、5年で個体数が2倍になってしまう見解を説明。
また、シカも捕獲されないよう学習しているといい、昼間は狩られないために馬のそばに立ち、日没とともに山に引きあげるようになった。さらに栄養価の高い牧草を食べることで、越冬するシカが増えてきて町内の牧場主は頭を悩ませている。
北海道のエゾシカ捕獲推進プランでは、エゾシカの個体減少に必要な捕獲数の目標頭数を挙げており、東部で6万3000頭、西部で7万2000頭、南部で6000頭。昨年度は14万1000頭(うち雌シカ8万6000頭)の捕獲が必要だった。他にも、外来種のアライグマは「野外からの排除」が最終目標になっている。
そのため、エゾシカなどによる農林業被害を防ぐために、鳥獣被害に遭っている人に狩猟免許取得を勧め自己防衛してもらった。その結果、狩猟免許の新規取得者数が増加し、捕獲数も増えて農林業被害額が減少したという。
菊地さんは「ハンターの減少は全国的な問題。まずは狩猟免許取得に興味を持ってもらうことが大事」と話した。
このあと、狩猟者免許取得の流れと補助制度について鳥獣被害対策室の職員から説明があった。
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