五島軒がパン製造を新規展開 オーブンなど設備投資【函館】

パンの製造を始める五島軒の若山社長(右)と石塚啓介工場長。工場改築、オーブン導入など準備が進む。
函館の老舗レストラン、五島軒(末広町、若山豪社長)は7月、パン製造の新事業を始める。北斗市内の工場にパン製造部門を増築し、オーブンなど調理設備も導入した。1879(明治12)年に「ロシア料理とパンの店」として創業した原点に立ち返り、さらに市民に愛される店を目指す考えだ。
同店の創業は、長崎・五島列島出身の五島英吉と、埼玉出身の若山惣太郎の出会いに始まる。旧幕府軍として箱館戦争に参加した五島は敗戦後、ロシア正教のハリストス正教会にかくまわれ、教会で働きながらロシア料理を会得した。一方、米問屋の長男に生まれた若山は米相場で失敗し、再起を期すため78(明治11)年に函館へ。若山はパン製造を手掛け、五島の協力を得て「五島軒」を開業した。
パン事業は、創業140年余という歴史のストーリーを生かし、新型コロナウイルスの影響で減少した宴会業の売り上げを補填する狙いもある。若山社長(39)は「結婚式など多くの宴会の利用があったが、20年ほど前から減少傾向。コロナが拍車をかけ利用は激減した」とする。
事業は国の事業再構築補助金を活用して昨年から計画。総事業費は約1億3000万円。北斗市追分3のカレー・洋菓子工場を改築し、蒸気で水分量をコントロールし、しっとりと焼き上げる高性能のオーブンも導入した。
7月7日から食パンとカレーパンの製造を開始し、本店や直営店などで販売する。生地には道産小麦ゆめちからを使い、カレーパンのフィリングは店で提供するカレー同様、自家製ブイヨンをベースとし、五島軒こだわりの味に仕上げた。
パンは同店ECサイトでも販売予定。若山社長は「レトルトのスープやポタージュはインターネット販売もあるので、パンとともに家庭で五島軒の味を楽しんでほしい」とPRする。
工場内には製造工程を小中学生などに公開する見学コースも整備し「製造業の仕事を知ってもらい、子どもたちの食育にも寄与していきたい」と説明。「パン事業を市民とさらに向き合った店づくりを進めるチャンネルにしていきたい。より気軽に五島軒の味に触れてもらえるよう取り組んでいきたい」と力を込める。
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