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苫小牧民報

3000年の時を越え、美の競演 恵庭で道央の漆塗り櫛展

準備作業が着々と進む会場

 恵庭市郷土資料館は10月2~8日、市内牧場の市埋蔵文化財整理室で「特別公開 道央の漆塗り櫛(ぐし)展」を開く。国の史跡指定を受けた恵庭の史跡カリンバ遺跡をはじめ、千歳や苫小牧などから出土した83点もの縄文文化期の漆塗り櫛を同時公開する専門的な展示としては全国初の試み。3000年の時を越えた朱色の美の競演を楽しめる。

◆漆塗り副葬品の謎

 展示するのは、縄文文化期の今から2900~3500年前の漆塗り櫛。2006年に国の重要文化財に指定されたカリンバ遺跡の29点や、恵南のユカンボシE1遺跡の出土品も初公開。千歳市埋蔵文化財センターや苫小牧市美術博物館などの協力を得て6市町で出土した83点(レプリカ13点含む)が一堂に集まる。

 恵庭は縄文の漆塗り文化の中心地とされ、漆塗りの副葬品が全国的にも際立って多く出土している。櫛に限ると全国で発掘された約460点中106点にも上る。恵庭市郷土資料館学芸員の長町章弘さん(46)は「なぜ、この地で漆なのかとよく聞かれるが、そこが謎。恵庭でこれだけの数が発掘されているのに、漆塗りの原材料が取れるウルシノキが北海道で自生していた痕跡がない」と指摘する。

 可能性として考えられるのが、交易品として本州からウルシノキの樹液を手に入れていた説。小樽忍路(おしょろ)土場遺跡で樹液が入ったつぼが出土し「あくまでも推測だが恵庭は当時、ウルシを交易で豊富に手に入れられるだけの力があったと考えられる。そうでなければ、これほどの漆塗り製品が出土する説明がつかない」。恵庭では、本州との交易があったことを裏付けるような5~9世紀の遺物も多く見つかっており、古くから、北海道の交易の中心であったことも可能性として挙げられるという。

◆全国初の大規模展示

 漆塗りの現物は劣化しやすく、市郷土資料館では普段レプリカを展示。現物公開は毎年1度の限られた時期で、今年は初めて櫛に特化した。櫛は壊れやすいために輸送も難しく、道央地域で発掘された櫛がこれほど集まるのは初めてで、搬入作業も「気が気でなかった」(同資料館)。それだけに、今展は全国の研究者らの注目を集めており最終日には人間国宝(漆芸)の室瀬和美氏も訪れる予定だ。

 見どころの一つは形状の美。縄文文化期の櫛の役割は、現代のように髪をとかすのではなく、髪に刺し装飾品として使用されたとみられる。墓では頭部に3~4個、多いものでは9個見つかったケースもあり「付ける数によって何らかの身分を表すものだったのかもしれない」と長町さん。形状は、穴を開けて模様にする”すかし”を入れる部分、凹凸をつける部分など、あらかじめ完成形を練った上で作られたとみられ、高い技術が垣間見える。

 自然のダイナミックさや神秘を感じさせる朱色の美しさも際立つ。朱色を出す顔料としてはベンガラと、貴重な水銀朱2種類が使用され「赤といっても発掘当時はピンクやオレンジっぽい色まで5種類ほどあった。退色したものもあるが、水銀朱を使用したものは鮮やかな赤を保っており、そうした色の違いも見てほしい」と長町さん。

 各地域から集まった櫛は同時代のものは比較的似ており、技術や情報が共有されていた可能性もあり見比べるのも面白い。

 展示は無料で午前10時~午後3時。期間中は学芸員が常駐し、来場者に説明しながら楽しんでもらう。問い合わせは市郷土資料館 電話0123(37)1288。

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