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根室新聞

ソ連の四島侵攻に米国からの貸与艦 元島民に驚きと困惑【根室】

約100人がかけつけた資料解説の様子=スライドは国後島上陸作戦に使用された艦船の写真

 ソ連軍の北方領土上陸作戦に米国からの貸与船が一部使用されていたことが根室振興局の調べで分かり、市民の間に米国へ対する疑念と困惑が広がっている。21日に道立北方四島交流センターニ・ホ・ロで開かれた同振興局の企画展「北方四島~運命の九日間~」の資料解説ではこうした史実が紹介され、四島侵攻のために貸与された船ではないにしろ、米国にも責任の一端があるのでは―との声が上がった。

 米国は昭和16年から20年にかけて、連合各国に対して軍需物資を供給するレンドリース(武器貸与法)に基づいて対日戦用の戦艦を貸与しており、ソ連には上陸用舟艇30隻、掃海艇55隻、護衛艦28隻、駆潜艇32隻の計145隻を貸与。このうち昭和20年8月28日から9月5日までの四島上陸作戦には10隻が使用された。

 この事実は米ソが対日戦へ参戦することを決めた昭和20年2月の「ヤルタ会談」直後に開始した極秘作戦「プロジェクト・フラ」で使用された艦船リストと、サハリン博物館から入手した紀要を同振興局北方領土対策課が照らし合わせたことで明らかになり、四島侵攻に使用した船の所有国や形状、型式などが詳細に分かっている。

 これらの資料から得た情報をもとに、艦船に詳しい専門家などから写真を収集するとともに、四島地図へ侵攻の経路や方法を書き込んだ資料のほか、元島民からの聞き取り資料のパネルを作成。元島民を恐怖に陥れた艦船の姿を明らかにし、「忘れてはいけない物語」として後世に伝えようと2月2日まで企画展を開いている。

 21日の資料解説では、国後島元島民二世で根室振興局の谷内紀夫副局長が展示資料をスライドで映し出しながら説明。コメンテーターとして参加した河田弘登志千島歯舞諸島居住者連盟副理事長は米からの貸与船が四島侵攻に使用されたことについて、今後の返還運動には影響ないとしたものの「あまり知られていなかった事実を、生の声で全国へ発信していくべき」と話していた。

 解説を受けた宮谷内亮一千島連盟根室支部長は「米国にも責任の一端があるのではと個人的に思う。北方領土問題についてもっと米国が理解を深め協力するよう、日本政府はこのことについても今後対応していく必要があるのではないか」と指摘した。

 資料解説には約100人の市民や返還運動関係者が参加。来場した市内在住の齋藤孝夫さん(78)は「このような事実を知って驚いた。解決せずにここまできた北方領土問題に、米国から何かしらのアプローチがあれば何か進展につながるのでは」と話していた。

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