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十勝毎日新聞

レストラン「ホーム」休業へ 市民に愛される洋食老舗【帯広】

 帯広市内で46年にわたり営業し、経済人や文化人らにも愛されてきた洋食レストラン「ホーム」(西2南9、六花亭本店ビル2階)が11日から長期休業に入る。オーナーシェフの井出智宏さん(86)が、高齢のため店から身を引くことを決めたため。井出さんは「ここまで続けられるとは思わなかった。お客さまに育ててもらい、自分は幸せ者」と60年に上る料理人としての歩みを振り返る。

厨房に立ち、「多くの人との出会いに感謝」と話す井出さん

 井出さんは長野県南佐久郡生まれ。終戦後に国民学校高等科を終え、開拓農民として茨城県に向かう予定だったが、偶然、生家を訪れていた札幌のおじに誘われ、「おじさんのそばで働けるなら」と16歳で移住。もう1人のおじが営んでいた定山渓の章月旅館(現・章月グランドホテル)で番頭見習いとなり、調理場の手伝いを務めたことから料理の道に入った。

 旅館には当時、真駒内の進駐軍が家族を連れて訪れることが多く、洋食の需要が急増。若手だった井出さんに白羽の矢が立ち、札幌の老舗レストラン「コックドール」で修業を積むことになった。

 その後、山崎多美也氏(後の全日本司厨士協会帯広支部長、故人)から誘いを受け、洋食レストラン「ドラゴン」の立ち上げに加わるため帯広へ。1972年に独立し、西2南10で「洋食のホーム」を開業した。ステーキやポークチャップなど確かな味が話題を呼び、店は繁盛。山崎氏の長女で妻の智恵子さん(81)と二人三脚で切り盛りし、明け方近くまで働く多忙な日々を過ごした。

 89年、六花亭製菓の小田豊社長(当時)に請われ、現在の場所に移転。新店舗は、経済人や文化人が主だったそれまでの客層から一変し、女性客が中心になった。味へのこだわりを保ちながらも新メニューを取り入れ、時代の変化に合わせて工夫を重ねてきた。

 休日もデミグラスソースに手を入れるなど、片時も料理から離れることのない生活を続けてきたが、自身も高齢を迎え、店での仕事に区切りを付けることを決めた。長女の宏子さん(58)もシェフとして厨房(ちゅうぼう)に立ち、親子でもり立ててきたが、現在のところ再開の見通しは立っていないという。

 井出さんは「やれることはやり切り、満足。お客さまにうちの味を覚えていていただければ幸せ」と笑顔で話す。道全調理師会副理事長や全日本司厨士協会帯広支部常任相談役など要職にも就いており、今後も道や十勝の料理界を支えていく。

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