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アイヌ・ロシア語通訳 上原熊次郎の半生たどる【函館】
函館新聞 - 2017/03/19 23:52
ゴローニン事件でも重要な活躍をした上原熊次郎を描いた小説作品「北門の功労者」
 江戸の風情や人情を感じさせる小説の朗読に日本舞踊のしぐさを交えた「江戸がたり」家元の寿々方(すずかた)さん=東京都在住=が、江戸時代後期にアイヌ語やロシア語の通訳として活躍した上原熊次郎有次(生没年不詳)について「北門の功労者-アイヌ語通訳・上原熊次郎」としてまとめた。松前町にルーツを持つ寿々方さんの先祖ともかかわり深い人物で、史実を交えながら、誠実で人情味あふれる熊次郎の人生を書き記した。

 熊次郎は松前の生まれとされ、若いころからアイヌ語が得意で、千島や樺太の探検にも同行。1792年に最古のアイヌ語辞書「もしほ草(蝦夷方言藻汐草(もしほぐさ)」、1825年に「蝦夷語集」を執筆。松前奉行所ではロシア語通訳として活躍した。

 寿々方さんの父方は松前にルーツを持つ。先祖の「吉田和右エ門」は「松前藩の奥右筆」と伝えられ、調べると和右エ門の実父が「熊次郎」であることが分かった。

 その人生をたどると、熊次郎が登場する文献は多くはないが、日ロ関係史や函館史に残る重大事件「ゴローニン事件(1811年)」で松前にとらえられたロシア軍艦艦長ゴローニンによる「日本幽囚記」に頻繁に登場する。寿々方さんはこうした熊次郎に関する資料などを集め、昨年3月ごろから執筆を始めた「北門の功労者」では史実をたどった部分に、さまざまな資料から垣間見える熊次郎の実直で人情味あふれる人物像を小説形式で書いた。

 執筆を進める中で、吉田家で「和右エ門」を名乗った熊次郎の二男は、後に上原家に戻り、先祖の和右エ門とは別人であることも分かった。寿々方さんは「血縁はなかったが、歴史を深く勉強し、ひとりの人間のことをあぶり出すことができた。熊次郎は誠実に生きた人で、明るく、ひょうきんな一面もあった。日本とロシアの歴史の中でそんな人がいたことを知ってもらいたい」と話している。

 A5判100ページで700部発行した。1冊1300円(送料込み)。購入希望者は、住所、氏名、電話番号、購入数を記載し、ファクス(03・3269・4158)、電子メール(suzukata@edogatari.jp)、はがき(〒162・0816 東京都新宿区白銀町2の14の208 江戸がたり 寿々方)に申し込む。申込者に振込用紙を送付する。

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