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室蘭民報

岩手で制作された般若面が白老で発見、登別で展示中【登別】

白老・アヨロ海岸で発見された面。岩手県大船渡市の工房で作られたものだった

 のぼりべつ文化交流館カント・レラ(登別市登別温泉町)で23日まで行われている造形のつどい展に、一風変わった作品が並んでいる。金剛力士像をほうふつさせるような、勇猛さがひしひしと伝わる木彫りの面。裏側を見ると「岩手・大船渡市」の文字が彫り込まれている。登別から直線で700キロ以上離れた東北の地で作られた面。なぜ北の大地にたどり着いたのか。接点は、アイヌ民族にあった。

 「流れ着いた般若面」。そう記されたメッセージカードとともに、面は台座に載せてカント・レラで展示している。「般若と書いてあるけど、特徴的な角はないんだよね」。つどい展を企画した佐藤彰さんは、地元で長く陶芸に親しんでいる。美術作品への知識も深いが「北海道で木彫りと言えばクマ。こういう面は見たことがないね」と首をかしげた。

 詳細な時期は不明だが、面は白老町虎杖浜のアヨロ海岸で発見されたという。拾った知人から佐藤さんが譲り受けた。面の裏を通すひもは一部劣化が見られるものの、全体的には傷んでいる箇所はない。目や髪、鼻、口、歯などを精巧に表現している。面長は50センチほど。座った子どもがすっぽりと隠れそうなサイズだ。

 裏を見ると、彫刻刀のようなもので名前などが記されていた。「贈・川原経司様江 岩手・大船渡市 佐々木淳一作 平成八年八月八日 大安吉日」

 「間違いなく、私が作った面ですね」。大船渡市で「木ばくり工房」を開設する佐々木淳一さんは、面の写真を見て迷わず即答した。面は「かまど面」という。宮城、岩手両県を中心に信仰された、かまどの火を守る神様。周囲は豊富な森林資源に恵まれており、面の素材はケヤキを用いている。

 佐々木さんは、寄贈した相手の名前を日誌に残しているが、工房を開いたのは1997年(平成9年)1月。面に書いてあった日付はさらにさかのぼり、日誌には記していなかった。だが、寄贈先の「川原経司」という名前には覚えがあった。「盛岡市にいる知人を通じて、プレゼントしたはずです。どうして白老の海岸にあったんでしょう」と驚く。

 寄贈された川原経司さん=仙台市在住=が、経緯を教えてくれた。20年近く前、地方公務員として鵡川町内(当時)に住んでおり、アイヌ民族の男性と知り合った。札幌に転勤後も交流は続き、家族ぐるみで顔を合わせる仲だった。ある時、男性が札幌市内の自宅に来た際、かまど面を目にして「譲ってほしい」と懇願された。「実は面は二つあってね。一つはあるから、もう一つは渡してもいいと思って」

 川原さんによると、男性は十数年前に亡くなったという。「病気で亡くなったようですが、渡したかまど面も姿を消してしまいました。どのような経緯で白老にたどり着いたのかは分かりませんが、無事に発見できたのはうれしいですね」と声を弾ませる。川原さんと佐々木さんはともにオートバイが趣味。7月に盛岡市内で行われるイベントに参加する予定という。「会うのが楽しみですね」

 「因縁めいたものを感じますね」と佐藤さんはしみじみと語る。アヨロ海岸にはアイヌ文化の遺跡が多く発掘されており、アイヌ民族にとって神聖な場所でもある。「戻ってくるべき場所に、神様が導いてくれたのかもしれませんね。本来の持ち主である川原さんに届けようと思います」

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