北海道ニュースリンクは北海道の参加新聞社がニュース・イベントを配信するサイトです

室蘭民報

児童の叫び―向き合う現場―(1)【胆振・日高】

 胆振・日高を管轄する室蘭児童相談所は2018年度(平成30年度)、644件の虐待通告を受け認定は597件に上った。統計を取り始めた00年度以降で最多。警察官の積極的な通告が件数増加につながった。一方で、被害者が声を上げられず見過ごされやすい潜在的な事案にも着目したい。11月は児童虐待防止推進月間。児童と向き合う現場の取り組みを全4回で伝える。


「シングルファザー同士がつながる架け橋に」との願いを込めて製作されたハンドブック

孤立する父子家庭

支援の「小冊子」

 室蘭市で9月、建設業の男(42)がわが子を殴打した暴行事件が起きた。シングルファザーとして3人の息子を育てる男への過大な負担。父子家庭に対するサポートの必要性が浮き彫りとなった。専門家は「母親に比べ経済力で勝る分、父親は自助努力で済まされ支援対象から外されてきた」と問題点を指摘した。

 ■長男110番通報

 「弟が父さんに叩(たた)かれた」

 同月29日夜、自宅の一室で10代の次男が下着を布団の下に隠したことに、男は憤慨。次男の右すねを数回殴打し、直後に10代の長男が110番した。

 同署から通告を受けた室蘭児童相談所は3人の子を一時保護した。同署と児相への相談歴はなかった。育児の必要性などから同署は在宅で捜査し、札幌地検室蘭支部に暴行容疑で書類送検した。

 「父子家庭への支援が不足している。父親同士の横のつながりが必要」

 父親の社会教育を研究する北海道文教大学の吉岡亜希子准教授(人間科学部)はこう訴えた。吉岡准教授は研究の傍ら、市民団体「父親ネットワーク北海道」を2011年(平成23年)に設立。これまで苫小牧や札幌など道内各地で父親向けの学習会を開き、仕事と育児の両立に悩む父親に寄り添ってきた。

 昨年、同団体が力を注いだのが小冊子「シングルファザーハンドブック」の発行。吉岡准教授がシングルファザー3人と実体験を基に作製した。(1)仕事(2)家事(3)子どもの育ち(4)相談―の4編で構成。4人の対話形式で展開している。

 相談編では「役所に行っても(収入が高いという)収入制限で、自分で民間のベビーシッターさんを頼んでくださいと言われました」「シングルになって、行政の窓口に相談に行ったところ母子家庭の支援ばかりでした」など直面する悩みを紹介。これに対し、NPO法人が運営する子育てサロンの利用などを通した解決策を提案している。

 ■悩まず連絡を

 家事編では「ハードルが高いのが弁当づくり」とし「から揚げなど茶色のものに偏る。弁当のご飯の蒸気を逃がすことも最初は知りませんでした」と苦労を吐露。子どもの服のサイズや母子手帳などについての解説をまとめた「子育て用語集」も盛り込んでいる。

 吉岡さんは「とにかく1人で悩まないでほしい。同じような境遇の仲間がいる。連絡してほしい」と語った。全30ページ。300部作製。配送可。ウェブでも無料公開している。

 室蘭児相の米田浩二所長は「(ハンドブックには)父親が共感できるポイントが散りばめられている」とし、経験者同士が悩みを打ち明けて不安を和らげる「ピアカウンセリング」の一環と評価。「特に父親は退勤後、相談機関がすでに閉まっていることが多い。昼休みに電話を頂ければ時間外でも対応する」と呼び掛けた。

 ハンドブックに関する問い合わせは吉岡准教授、携帯電話090・3394・5648へ。

(2019年11月19日掲載)

関連記事

十勝毎日新聞

新嵐山一帯を“農村の宿”に スカイパーク活用計画案【芽室】

 芽室町は新嵐山スカイパークの活用計画案を、24日までにまとめた。一帯を「Rural inn(農村地帯の宿)」と位置付け、多くの観光客が景観や食などの地域価値を体感できる新しいエリアづくりを進める...

十勝毎日新聞

2トンの豆 鬼まいった 「豆まかナイト」【本別】

 節分に合わせた豆まきイベント「ほんべつ豆まかナイト2020」(実行委主催)が25日夜、本別町体育館で開かれた。用意された2トンを超える大豆を使ったアトラクションなどに来場者は歓声を上げ、一足...

十勝毎日新聞

冬の災害 体験で備え 市防災訓練【帯広】

 帯広市冬季防災訓練が25日から26日にかけて、市内の川西中学校を会場に行われた。川西地区をはじめ市内全域から参加した約120人が、厳寒を意識し、災害時に生かせる救助や調理法などを訓練や体験な...

函館新聞

科学祭、今年のテーマは「健康」/催しアイデア続々【函館】

 毎年8月に函館市内近郊を舞台に行われる「はこだて国際科学祭」(サイエンス・サポート函館主催)のキックオフイベントが25日、函館コミュニティプラザ(Gスクエア、シエスタハコダテ内)で開かれた。1...

函館新聞

春節にぎわい、朝市などにぎわう【函館】

 中華圏の旧正月「春節」の25日、函館市内の施設には多くの台湾や中国からの観光客の姿が目立った。中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が懸念される中、大型連休中に延べ約30億人...