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苫小牧民報

田中翆甫さん、書歴60年の個展 磨き鍛えた腕前披露【苫小牧】

毎日筆を持ち、真っ白な紙に向かっている田中さん

 北海道書道展などの審査員を務める田中翆甫=すいほ=(本名・忠勝)さん(79)=苫小牧市豊川町=が9月14~17日、市文化交流センターで10年ぶりの個展「字書き60年に寄せて」を開く。田中さんは「時間をかけてできたものが本物」と言い、この10年間の研さんを物語る約30作品を発表する。半世紀以上、磨き鍛えた腕による作品がそろい、見応えのある書展になりそうだ。

 市、市教委、苫小牧民報社など後援。苫小牧市民文化芸術振興助成事業。

 田中さんは空知管内栗沢町で生まれ、中学時代に書道を始めた。教職に就いた後、日展や毎日書道展で入賞、入選を重ね、1975年に道展会員に。72年から定年まで苫小牧東高に勤め、苫小牧書道連盟で理事長や顧問を歴任。書道文化への貢献が評価され、2013年には市文化奨励賞を受賞した。

 書歴50年を迎えた07年に市内で開いた個展では創作を中心に発表したが、今展では臨書をメインにした。見どころは、中国唐代の書家、顔真卿の「争座位稿」(縦1・3メートル、横8・4メートル)や、初唐の書家、孫過庭の「草書千字文」(縦2・4メートル、横6・5メートル)を全臨した大作。木簡(木片に書かれた墨書)や法華経も含め、臨書は約10作品を発表する。

 「古典は創作の原点。基本を学んでいなければ底の浅い作品になり、眼力のある人には見抜かれる。創作のレベルアップをするためにも、こつこつ積み上げる努力が必要、と原点に回帰した」と話す。

 創作は、自身の心境を書いた「八十歳の底力」「生涯字書き」などを出品する。

 田中さんは10代のころから書を愛し、「何になるとか考えることもなく、本当に好きで書いていた」。教職に就くと授業や部活動で生徒に書を指導。「好きなことを仕事にできたのは、恵まれていた」と振り返る。

 今日まで筆を毎日欠かさず持ち、この生活を生涯続けられるよう、ウオーキングやラジオ体操で体力づくりをしている。50回の腕立て伏せや、腹筋、背筋運動も日課だ。

 小さな文字を綿々と書く時は長時間腰を落とすので腰や膝に負担が掛かるが、鍛えているおかげで今も1枚の書をじっくり仕上げることができるという。「書道に限らず、時間をかけて作ったものには、生み出した人の性格や作品への思い、創作への姿勢がにじみ出る。それが見えるから味わいがあり、こういうものが本物。だから労作に仕上げたい」と言い、追求する作品を書く努力を惜しまない。

 70代の活動を集大成する個展に向けては「見てもらうだけでうれしい。その人の生き方、感受性で好きなように受け止めてもらえれば」と話し、自身は今後も続く書の道の糧にする考えだ。

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