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函館新聞

近代詩文書の造形美40点 千葉軒岳さん「遺墨展」始まる【函館】

紙、墨、線などで独創的な書を残した千葉さんの作品が並ぶ会場

 書道の普及、発展に尽力し、昨年2月に死去した函館の書家、千葉軒岳(本名・喜彦)さん(享年81)の「遺墨展」(函玄社主催)が24日、函館市芸術ホール地下ギャラリーで始まった。29日まで。

 千葉さんは1938年1月、上磯町生まれ。57年北海道学芸大函館分校(現道教育大函館校)に入学。卒業後の59年に教職に就き、故太田鶴堂氏に師事。文化勲章を受章した松前町出身の書家、故金子鷗亭氏から強い薫陶を受けた。

 73年に同志と函玄社を創立し、常に新しい書を追求。自身で彩色した紙を作り、熟考と修練を重ねた線で流麗にしたためる漢字、かなと空間で斬新な作品を発表し、北海道書道展、創玄書道展などで大賞を受賞。創玄書道会参与、毎日書道会参与などを歴任。函館新聞の題字を揮毫(きごう)したほか、後進の育成や地域の書文化発展にも心血を注いだ。

 会場には実行委員が厳選した近代詩文書を中心に約40点のほか愛用の筆、作品の写真集などが並ぶ。実行委員で函玄社副会長などを務める安保天壽さん(74)は「筆で表現する言葉の感覚は誰にも真似できず、道南で追いつける書家は出ないだろう。研究して完成した1枚の造形美を見てもられば」と話している。

 午前10時―午後6時半(最終日は同5時まで)。

 「スケール大きく、おしゃれな作品」鈴木大有実行委員長

 函玄社の運営委員長で遺墨展の実行委員長を務める鈴木大有さん(63)に、展覧会の見どころを聞いた。

 ――遺墨展の経緯は。

 千葉先生は、今後の書活動の参考にしてほしいと書作集「軒岳小画廊」(2017年)を出版した際に、個展を開かなかったので実際の作品を見ていない方も多い。約240点ある掲載作品の全ては無理だが、約40点を展示し、年譜や愛用の筆、硯、思い出の写真なども見ていただく。

 書作集をいただいた時に集大成ですかと聞くと「通過点だよ。これから書をやっていく人たちへの啓蒙の書だ。またつくるぞ」と話していた。「展覧会はやらない」と言っていたので、「なんで遺墨展なんて開いたんだ」と私が急先鋒で怒られますね。

 ――千葉さんはどのような方でしたか。

 千葉先生から函玄社の運営委員長などを引き継いだが、実務のトップとして会が今後どう進むべきか常に先を考えていた人。私利私欲なく、道南、北海道、日本の書道界のことを考え、書文化の振興にできることをやってこられた。

 ――書家としての魅力は。

 運腕(腕の動き)が大きく、スケールの大きい書でありながら、ハイセンスでおしゃれな作品を書いた。晩年は彩色することにこだわりを持っていたが、色に負けない線の強さがあった。

 書は線の芸術であり、色を付けることは邪道だという見方もあるが、金子鷗亭先生が近代詩文書に挑戦されたように、新たな書の可能性を開くことに挑戦したのではないか。多くの方に足を運んでいただきたい。

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