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日刊留萌新聞

水素社会実現の一歩へ 11月から実証事業【苫前】

実証事業開始式でテープカットするNEDOの大平主任研究員(右から2人目)ら

 水素社会構築に向け、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受け、企業や大学が町内に実証施設を設けるなどして取り組んできたプロジェクトの実証事業開始式が、28日午前11時から苫前町夕陽ヶ丘ウインドファーム「風来望」で行われた。11月には町営風車で製造した水素を町内の「ななかまどの館」の風呂の燃料として利用する実証実験が始まり、技術の確立や事業化の検討に向け、エネルギーの効率的な利用の実現を目指す。

 水素は使用時に二酸化炭素を排出せず、電気や熱など多様な利用が可能なため将来の2次エネルギーとして期待されており、風力発電などの再生可能エネルギーを利用した製造では二酸化炭素も発生しない。再生可能エネルギーは気象条件によって発電量が大きく左右され、風力発電も風の状況によって発電量が大きく変動し、予想以上の発電量が送電網に送られると送電網に負担がかかるため、安定供給できる量を送電し、出力の不安定な部分を切り離して活用することが考えられている。

 「北海道に於ける再生可能エネルギー由来不安定電力の水素変換等による安定化・貯蔵・利用技術の研究開発」として平成27年2月から始まったプロジェクトは、安定送電可能な電力を予測して電力系統の安定化を図るとともに、不安定な部分を活用して水素に変換・貯蔵し、効率よく利用することが目的。事業費は11億7千万円で、豊田通商株式会社(本社・名古屋市、東京都港区)など5社と室蘭工業大学が連携しながら取り組んできた。

 風来望には、水を電気分解して水素を作る水電解装置、輸送しやすくするために水素とトルエンを反応させて液化する水素添加装置、ななかまどの館には液化した水素をトルエンと分離し気体に戻すための脱水素装置、水素と液化石油ガス(LPG)の混合ガスを作る予混合装置、混合ガスを燃焼させる混焼ボイラーなどを設置。それぞれの技術試験を経て、11月下旬には全体をフル稼働させた実証事業に着手し、技術や設備の性能、事業性を検証。新たなエネルギーシステムの実現とビジネスモデルの構築を目指す。

 実証事業開始に先立って行われた式典には、関係者や町議会議員ら53人が参加。留萌振興局の松浦豊局長、森利男町長、留萌開発建設部の山崎真一部長、NEDOの大平英二主任研究員、北海道大学の近久武美教授、豊田通商の綿貫辰哉執行役員がテープカットした。

 大平主任研究員が「プロジェクトは、将来の新しいエネルギーシステムを実現するための第一歩。水素を大きく生かした社会を実現するための取り組みを今後も積極的に推進したい」、綿貫執行役員が「実証運転を控え、実証メンバー一同ますます気を引き締めて安全対策に取り組んでいく」とあいさつ。森町長も「地球温暖化や大気汚染問題などを解決する鍵は風であり、水素と確信している。充実した設備により十分満足できる試験を行い、高い成果を出し、新たな飛躍を遂げてほしい」と語り、実証事業の成果を期待した。

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