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函館新聞

北海道南西沖地震25年 地域防災力さらに強化を【江差 奥尻】

震災2日後の奥尻町青苗港の様子(函館地方気象台提供)

 奥尻町を中心に多くの犠牲者を出した1993年の北海道南西沖地震は12日で発生から丸25年を迎えた。激しい揺れの直後に最大30メートルともいわれる津波が奥尻島全体を襲い、同島の198人を含む道内外で計230人の死者・行方不明者を出した。四半世紀がたち、道南では人口減少や高齢化が進む中、地震を含めた災害への備えや地域の防災力が改めて問われている。

 ■高齢化進む地方 津波避難に不安

 北海道南西沖地震を機に、桧山地方の各町内会では津波避難の対策が進んでいる。江差町北部で約440人を束ねる水堀町内会の室井常雄会長(77)は、町が今年3月に改訂したハザードマップを眺めながら話した。「海抜4メートルにある自宅は、約30センチの浸水があるという。国道(229号)を挟んだ陸側はさほど海抜が変わらないと思うが、浸水区域に入っていない」。

 保育園や小中学校は、津波にも対応できる避難所に指定されているが、町内会員の多くは浸水を恐れ、町の北側に位置する火葬場や公園のある高台への避難を考えているという。毎年実施する町内会での防災研修でも、昨年はどのように高台に避難するのか図上訓練に取り組んだ。

 しかし、高台までは集落から1キロほどある。さらには25年前の地震では高台につながる国道がひび割れ、波が打ったようになった。車での移動ができない可能性もある。

 地震から25年がたつ中で、地方では人口減少と高齢化が進んでいる。江差町の65歳以上の人口は、1995年に18%ほどだったが、2015年には35%を占めるまでになった。

 高齢者や障害者など自力避難が困難な人として災害時要支援者名簿に掲載されたのは9人だが、室井会長は「70歳以上の高齢者は110人いる。名簿に載っていないが、腰や足など体に何らかの不自由を抱える人はその半数はいるはずだ」と推測する。「昼間ならば若い世代も働きに出ている。もし車が使えない状況ならばどうなるのか」と町内会長として共助を担う責任を感じながら、不安な胸の内を明かした。

 ■北海道南西沖地震

 1993(平成5)年7月12日午後10時17分、本道南西部の日本海を震源とするマグニチュード7・8の地震が発生。小樽や江差、寿都などで震度5、函館、室蘭、青森などで震度4を観測した。震源域にあったと推測される奥尻島には当時、震度計がなかったが、震度6の揺れがあったと推定されている。

 札幌管区気象台は5分後の同22分に本道日本海沿岸に大津波警報を発表したが、奥尻島への津波の第一波は発生後約3分で到達したとされ、最大遡上(そじょう)高は30メートルを超えたとされる。島南部の青苗地区では多くの住民と住宅が津波に流されたほか、火災も発生。北部の稲穂地区でも集落が壊滅的な被害を受けるなど、同島だけで死者・行方不明者は198人となった。

 津波はさらに道内のみならず全国の日本海側にも押し寄せ、現在のせたな町を構成する旧3町で死者・行方不明者は計21人、後志管内島牧村でも7人が犠牲となった。強い揺れによって道南を中心に道路や港湾施設の損壊があった。被害額は奥尻だけで約664億円、総額約1323億円だった。

 ■災害に強い函館港に

 1993年の南西沖地震発生当時、震度4の揺れを観測した函館市内では広範囲で噴砂など液状化現象が発生し、港湾施設も大きな損傷を受けた。東日本大震災では、函館港が本州とを結ぶ物流、人員輸送の拠点として大きな役割を果たすなど、災害に強い港湾機能が改めて重要視された。

 南西沖地震で見られた液状化現象は、水を含んだ砂地盤が地震などの揺れによって文字通り液体のようになる状態で、函館港一帯で砂が噴き出し、岸壁の傾斜や地盤沈下を招いた。市国際水産・海洋総合研究センターがある弁天地区の岸壁では当時の傷跡を見ることができる。

 函館開発建設部函館港湾事務所によると、現在は水深の比較的浅い岸壁を整備する際でも必要な地盤改良を施すなど、液状化が起こりにくい工法で設計されるという。また、函館港では2016年度までに、北埠頭が耐震強化岸壁として整備された。同事務所は「ある程度の大きな地震が起きても傾きや沈下が起こりにくく、損害を軽微に抑えることができる」とし、災害に強い港湾機能を維持することが可能となった。

 また、函館港の関係機関では昨年、災害時の港湾機能の早期復旧を図るために「函館港港湾事業継続計画」(函館港BCP)を策定。道開発局を中心として道内太平洋側6港湾が連携する広域港湾BCPと合わせて、災害時の連携体制を確立している。

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